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トランプ大統領が掲げた「火星に宇宙飛行士を」 - 鍵を握るイーロン・マスクの野望

マイナビニュース / 2025年1月30日 19時41分

さらに、宇宙飛行士を極めて高いリスクのミッションに送り出すことは、社会的な大きな議論を呼ぶだろう。トランプ大統領がこのようなリスクの高いミッションを承認すれば、強い批判を受けることは避けられない。結果として、歴史に残る失敗として評価される可能性があり、政治的にも受け入れられるものではないだろう。

マスク氏の現実的な狙いは? 日本にも影響か?

したがって、マスク氏の真の狙い、あるいは妥協点は、有人火星探査の早期実現に向けた環境作りと、そのためのアルテミス計画の見直しであろう。

実のところ、マスク氏の「アルテミス計画は非効率」、「月は邪魔」といった発言は、あくまで火星を目的と設定するなら、間違ってはいない。

たしかに、月は地球にいちばん近い天体であり、火星はその次に近い。そのため、月を足がかりにして火星へ行くことは、一見すると自然な流れに思える。

しかし、純粋に物理法則の観点からは、月を経由するとその分多くのエネルギーを使う必要があり、直接火星に送るほうがよほど簡単である。つまり、月を経由することは、むしろ遠回りになってしまうのである。

また、月ではロケットエンジンの噴射だけで着陸する必要があるのに対し、火星では大気を使った減速がある程度可能である。

さらに、月にはスターシップの燃料であるメタンはなく、地球から持ち込まなければならないのに対し、火星では大気に大量に含まれる二酸化炭素から、メタンと酸素を生成することができる。

スターシップはアルテミス計画において、宇宙飛行士の月着陸船としても使用される予定だが、地球から燃料を持ち込まなくてはならない都合上、その飛行計画はきわめて複雑なものとなっており、たとえばスターシップの打ち上げ機数は、月面着陸用やそれに燃料を補給する用も含め、約15機が必要だとされる。それに対して、火星への飛行の場合は、燃料を現地生産できる都合上、必要な打ち上げ数は少なくできる。

火星への有人飛行はそもそも難しいという大前提はあるものの、ある点では月へ行くよりも容易なところがある。また、有人月探査のために開発した技術や、造った宇宙船などが、有人火星飛行には役に立たないこともある。

こうした点から、有人火星探査を行うことが目的であれば、月に寄り道するのは賢明ではないのは事実だ。

一方で、アルテミス計画を完全に中止することも非常に困難である。

まず、アルテミス計画には日本や欧州、カナダなど、数多くの国が参画し、それぞれが月へ行くことを念頭に宇宙計画を進めている。

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