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東京都、障害者や高齢者が安心して観光できる「アクセシブル・ツーリズム」実現に向けたシンポジウム開催

マイナビニュース / 2025年1月31日 17時10分

後半はアクセシブル・ツーリズムの拡大に向けた取り組みについて話した。ここで山崎氏は、そもそも”バリアフリー”という言葉が障壁になっているのではないか、と指摘する。「私もこれまで温泉地の皆様に働きかけてきたんですが、そのとき『バリアフリー温泉をやってみませんか』と聞くと反応が良くありません。受け入れる側は、館内をすべてフルフラットにしないといけない、スロープも作らなくちゃ、予算が足りない、ハードルが高いと尻込みしてしまうんですね。でも『親孝行温泉をやってみませんか』と聞くと、事業者さんも『うちでもできるかな』『できることから始めても良いかな』と、前向きに考えてくれます」。

東京都では「東京観光 バリアフリー情報ガイド 全35コース」という冊子を無料配布している。また、東京都参道労働局のホームページにも一部の詳細情報をプラスして掲載している。この出来が素晴らしい(けれど一般の人に伝わっていない)、と山崎氏。「障害を持っている方とそのご家族が、一緒に観光を楽しみたいと思ったとき、行った先がどんな施設か分からないと訪れる勇気が持てません。こうしたバリアフリー情報ガイドは、そんな人たちの背中をそっと押してくれるものです。ぜひ、多くの人に閲覧してもらえたらと思います」。

最後は、海外における事例を紹介した。たとえばアメリカの温泉地であるパゴサホットスプリングスは段差だらけの入浴施設で、バリアフリーの設備が充実できていない。けれど入浴者同士で肩を貸し合うなどして、助け合うことで不便さを克服している。こうした事例もひとつのヒントになるのではないか、と伝えた。

○■情報発信は的確に

このあと、会場ではパネルディスカッションが開催された。テーマは「情報通信社会におけるアクセシブル・ツーリズムの推進」。パネリストの山田肇氏は、ツーリズム情報を案内するときは受け手を特定して正しい発信をすること、と指摘する。

「例えば、公共交通機関において。施設特性に基づく情報提供においては英語併記を基本とし、必要に応じては中国語、韓国語を含めた表記を行うことが望ましいとしていますが、次の駅まで2分で到着する電車において日本語、英語、中国語、韓国語の案内が順番に表記されていたら、情報が取得できずに降りそびれる乗客が出ます」と山田氏。逆にユニバーサル・スタジオ・シンガポールで、とあるアトラクションに乗るときに英語で短くYOU WILL GET WET, POSSIBLY SOAKED!(濡れるよ、びしょ濡れかも)と書かれているのを見て「整理された情報が最も理解しやすい方法で表示されている」と感心したという。

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