トランプとイーロン・マスクの「宇宙飛行士救出計画」の真意とは? 政治が技術を歪める危うさ
マイナビニュース / 2025年2月7日 12時38分
●突如浮上した、「ISSに“取り残された”宇宙飛行士を早期帰還させる」という発言の背景
イーロン・マスク氏は2025年1月29日、X(旧Twitter)上で、「トランプ大統領の要請に基づき、国際宇宙ステーション(ISS)に“取り残された”2人の宇宙飛行士を、できるだけ早く帰還させる」と発表した。
この宇宙飛行士たちは、2024年6月にボーイングの宇宙船でISSに到着したあと、宇宙船のトラブルで帰還が延期され、現在も滞在を続けている。
現在、帰還は3月に予定されているが、これを前倒しするという。NASAも早期帰還に向けて作業を進めていると認めた。
はたして、早期帰還は技術的に可能なのか?。トランプ大統領やマスク氏の発言の真意はどこにあるのか。「取り残された」という表現は正確なのか。その背景や、考えられる今後の影響とともに、詳しく見ていきたい。
事の発端と、発言の背景
ことの発端は、2024年6月にさかのぼる。
NASAのバリー・ウィルモア宇宙飛行士とサニータ・ウィリアムズ宇宙飛行士の2人は、2024年6月にボーイングの新型宇宙船「スターライナー」の有人飛行試験の一貫として、ISSへ飛行した。
当初、飛行試験は8日間の予定だったが、スターライナーのスラスターに問題が生じ、ヘリウム漏れも起きたことで、帰還を延期した。NASAとボーイングは、原因究明や安全性の検証を進めたものの、最終的に宇宙飛行士を乗せた飛行は不可能と判断した。
その結果、スターライナーは無人で帰還することになり、一方2人の宇宙飛行士はISSに残り、スペースXの宇宙船「クルー・ドラゴン」運用9号機(Crew-9)に乗って帰還することになった。
クルー・ドラゴンCrew-9は当初、4人の宇宙飛行士を乗せて、2024年9月に打ち上げ、2025年2月にISSから帰還する計画だった。それを、2人に減らして打ち上げたうえで、帰還時にウィルモア氏とウィリアムズ氏を乗せることになった。
このときNASAは、「2人は宇宙に取り残されているわけではない」と説明していた。ISSには2人が延長滞在できるだけの余裕もあり、必要になれば物資を送ることもできる。当初8日間の予定だった宇宙滞在が、8か月以上に延びはしたものの、宇宙飛行士はこのような不測の事態に対応できる訓練を受けている。また、万が一の際には、Crew-9に乗って緊急脱出することもできる。
起こっていることは、パニック映画の冒頭のようなものではなく、十分に想定の範囲内、制御下にあった。
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