トランプとイーロン・マスクの「宇宙飛行士救出計画」の真意とは? 政治が技術を歪める危うさ
マイナビニュース / 2025年2月7日 12時38分
「バイデン政権が2人を放置していたのはひどいことだ」
しかし、昨年12月以降、状況が変わりつつある。
12月17日、NASAは次のクルー・ドラゴンの飛行である運用10号機(Crew-10)の打ち上げが、早くとも3月下旬まで遅れると明らかにした。
クルー・ドラゴンは再使用可能な宇宙船だが、Crew-10は新造船の初飛行となる。NASAは、製造や試験で何らかの問題が起きたことを示唆しており、「新しい宇宙船の製造、組み立て、試験、そして最終的な統合は、細部にまで細心の注意を払う必要がある、難しい作業だ」と説明している。
そして、これにより、ウィルモア氏とウィリアムズ氏の帰還はさらに遅れることになった。
ISSに滞在する宇宙飛行士が交代する際には、先に新しい宇宙飛行士がISSに到着したあと、引き継ぎなどを行ったのち、それまで滞在していた宇宙飛行士が帰還するのが慣例である。したがって、Crew-10の打ち上げが3月下旬まで遅れれば、Crew-9と2人の帰還は、引き継ぎ後の4月上旬ごろになることを意味する。
こうした中、米国では第2次トランプ政権が発足し、スペースXを率いるマスク氏が最側近となった。そして、今回のマスク氏の「ISSに取り残された2人の宇宙飛行士をできるだけ早く帰還させる」という発言が飛び出した。
マスク氏は、これがトランプ大統領の要請に基づくものとしたうえで、「バイデン政権が2人を放置していたのはひどいことだ」と付け加えた。
一方、トランプ大統領も29日、Truth Socialに「マスク氏とスペースXに、バイデン政権によって、事実上宇宙に置き去りにされた2人の勇敢な宇宙飛行士を『助けに行く』よう依頼した」と投稿している。
そして30日になり、NASAは「NASAとスペースXは、クルー・ドラゴンCrew-9に乗ったウィリアムズ氏とウィルモア氏を、できるだけ早く、安全に帰還させるため、急きょ作業を進めている。また、長期滞在間の引き継ぎを行うため、Crew-10の打ち上げ準備も進めている」との声明を発表し、トランプ大統領とマスク氏の発言を受け、実際に動き出したことを明らかにした。
●実現の可能性と弊害、そしてチャレンジャー事故の教訓
技術的には可能、しかし問題も
Crew-9の早期帰還は、技術的には十分に可能である。Crew-9はISSに係留されており、宇宙服など必要な装備も完備している。万が一、緊急事態が発生した場合でも、2人は直ちにCrew-9で脱出できる体制が整っており、理論的には明日にも帰還が可能である。
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