変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第13回 スパコン世界一になった地球シミュレータと、未来へ駆ける量子コンピュータ
マイナビニュース / 2025年2月11日 12時0分
現在、NECでは、大容量の高速メモリと高速行列計算を可能とするベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA」を製品化している。
NECが長年スーパーコンピュータ開発で培ったLSI技術と高密度実装技術、高効率冷却技術などを結集したベクトルエンジン(VE)を複数搭載した省電力サーバーで、VEをPCIeカード型としたことで、これを筐体に差し込んで利用できるようにしたのが特徴だ。VEを1基搭載し、デスクトップとして利用できるエッジモデルから、複数のVEを搭載したオンサイトモデル、データセンターモデルをラインアップ。科学技術計算やビッグデータ解析での高速処理のほか、気象予報や地球環境変動解析、流体解析、ナノテクノロジー、新規素材開発などのシミュレーション、AI活用においても、高い実効性能を実現している。
地球シミュレータ、世界最速の1000倍を目指した国家プロジェクト
NECのスーパーコンピュータの取り組みで見逃せないのが、1997年にスタートした地球シミュレータへの参画だ。
スーパーコンピュータによって仮想の地球を作り、冷夏や暖冬などの気候変動を予測。エルニーニョなどの海洋現象の予測や、台風の正確な進路予想などを行うほか、生態系変動予測、地球内部の変動メカニズムの解明などにより、人間社会と地球の持続性に貢献することを目的とした国家プロジェクトだ。NECは、その開発に協力し、2002年にこれを完成させた。
地球シミュレータで求められたのは、当時の世界最高速のスーパーコンピュータの1000倍の性能という途方もないものだった。
プロジェクトスタート時点で、NECの最新スーパーコンピュータは、1994年に発表していたSX-4であったが、地球シミュレータで求められる性能を実現するには、32個のチップで構成していたSX-4のプロセッサを、ひとつに集約するという大きな進化が必要であった。また、プロセッサ内の配線を、従来のアルミ配線から、より電気抵抗が少なく遅延時間を短縮できる銅配線へと変更するとともに、約20mm四方のチップに、5700万個のトランジスタを実装しなくてはならなかった。NECでは、LSIのパッケージング技術に、ビルドアップ配線基板を採用し、約30倍の配線収容性や配線幅の微細化による高密度化を実現して、こうした課題を解決していった。
さらに、開発当初は、空冷方式を予定していたが、これでは十分な冷却ができないことが明らかになったため、試行錯誤の結果、内部に封入した冷媒の沸騰と凝縮によって放熱する「沸騰型ヒートシンク」という新たな技術を開発。技術的限界を超えることに成功したのだ。
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