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変革の軌跡~NECが歩んだ125年 第13回 スパコン世界一になった地球シミュレータと、未来へ駆ける量子コンピュータ

マイナビニュース / 2025年2月11日 12時0分

このとき、NECでは、26以上の部門と11以上の関係会社から延べ1000人が参加。まさに、NECグループの総力を結集した一大プロジェクトとなった。

2002年に稼働した地球シミュレータは、35.86TFLOPSの性能を達成し、スーパーコンピュータの計算性能としては、ほかを寄せ付けない圧倒的な世界1位を獲得。ニューヨークタイムズは、地球シミュレータが誕生した衝撃を、旧ソビエト連邦が米国に先駆けて人工衛星「スプートニク」を打ち上げたことになぞらえて、「コンピュートニク」と呼んだほどだった。地球シミュレータの世界ランキング1位は、その後、2年半にわたって維持された。

だが、NECは、地球シミュレータに続く、スーパーコンピュータプロジェクト「京」には関しては、スタート時点では参加していたものの、2009年5月にプロジェクトからの撤退を決めた。莫大な開発コスト負担を抱えた技術主導のビジネスモデルを維持することが、限界に達していたのが理由だった。リーマンショックの影響を受け、2008年度に2966億円の最終赤字を計上したNECにとって、研究開発費の縮小が避けられないなか、プロジェクトからの撤退は苦渋の決断だったといえる。

しかし、地球シミュレータで培った技術と経験は、その後のNECのコンピュータ事業に生かされている。Express 5800シリーズの高性能サーバーに地球シミュレータで培った技術が活用されているほか、省電力技術や空調技術、そしてネットワーク技術にも、地球シミュレータでの経験が生かされている。さらに、NECが得意とする顔認証などのセーフティ技術の開発や、クラウドサービスを提供するデータセンターの構築にも生かされているという。

なお、NECは、地球シミュレータの進化においては、貢献を続けており、2009年にはNECのSX-9/Eを活用したES2を稼働。2015年のES3では、SX-ACEで構成した世界最大規模の分散メモリ型ベクトル並列計算機として稼働させた。また、2021年から稼働している現行のES4は、NECのVector EngineやNVIDIAのGPUであるA100を組み合わせたマルチアーキテクチャー型スーパーコンピュータとして開発。SX-Aurora TSUBASA B401-8を684台(5472基のVEを搭載)などにより、最大理論性能として19.5PFLOPSの計算能力を実現した。従来システムの約15倍の性能を実現する一方で、消費電力はほぼ同等、設置面積は約半分しており、地球環境や海洋資源、海域地震および火山活動に関する研究開発などに使用されている。

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