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「革命家」が息を吹き返す? - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月21日 20時14分

 日本ではニュースにもあまり上がっていないようだが、先週行われた、習近平国家主席の父、故習仲勲の生誕百年記念活動が中国政治の動きに注目する人たちの話題になっている。

 昨年の今頃、習近平ら胡錦濤から政権を引き継ぐとされる新指導者候補たちが「太子党」と呼ばれていたのを覚えているだろうか? 「太子」とは1949年の中華人民共和国建国に関わった「革命第一世代」の子女たちのことだ。ちょうどここ数年、その子女たちがビジネス、政治などの場で頭角を現し始め(もちろん、父母の恩恵に預かった上での「頭角」だが)、そんな人たちをまとめて「太子党」とよぶようになった。別に彼らが「太子党」と自称して政党や派閥など徒党を組んでいるわけではない。

 もう一つ「官二代」という言葉もある。こちらは一代目の範囲がちょっと広く、中央から地方に至るまでの官吏のうちある程度の地位についた人たちの二代目を指す。例えば、北京の衛生局長の息子は「官二代」であって「太子党」ではない。「太子党」はあくまでも建国直後から現在までに中央政治のトップを経験した者を親に持つ者を言う言葉だ。

 その「太子党」のトップとして初めて中央政治に君臨するのが薄煕来か、習近平かと言われていたわけだが、結果はご存知の通り。薄煕来のドラマチックな失脚とともにとにもかくにも習近平体制が始まって、この後「太子党」話題はしばらく収束するのではないかと思っていたのだが...

 そこに先週の「故習仲勲生誕百年記念式典」である。100年どころか、一般に中国の人々が覚えている政治指導者の誕生日は毛沢東が関の山だろう。今年の12月26日はその毛の生誕120周年にあたる。習仲勲は中国建国(=中国共産党にとっては革命、奪権の結果である)後の歴史を知る人なら知らないはずのない名前だが、党内では中央政治局委員止まりで実質的な指導者といえる常務委員入りも果たしておらず、その存在は毛沢東に及ぶべくもない。その彼の生誕記念式典は「親の七光」どころか「子の威光」によるものであることは誰の目にも明らかだった。

 現国家主席の親の生誕記念式典なぞ、これまで中国において行われたことがない。今回の記念活動は習仲勲の姿をかたどった記念切手が発行され、そして関連書籍の出版や広東省や陝西省などの習仲勲ゆかりの地での祝賀式典が行われ、国営テレビ中央電視台では六夜連続ドキュメンタリー番組を放送し、10月15日当日は人民大会堂で記念式典が行われ、習一家がそこに集まった。これらの活動において習近平は公開の発言を行わず、家族を代表して母、斉心と弟の習遠平がスピーチを行ったという。

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