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報道の裏事情 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2013年10月31日 16時31分

 そしてその情報には日本メディアが一切書いていない情報が含まれている。


 目下、中国市場において外国ブランドの乳幼児粉ミルクは70%から75%のシェアを占めている。しかし、その他輸入ブランドにおいてこれまで明治のシェアはずっと低く、ACニールセンの調査によると、市場シェアではトップ10にも入っていない。中国国産ブランドの聖元や雅士利にも及んでいない。華東地区(訳注:上海を中心とした地域)で外国ブランドの粉ミルクを取り扱う業者は、『明治の粉ミルクは華南(訳注:福建省や広東省)及び華東では大型スーパーマーケットチェーンで販売される。外国ブランドは主に医療系ルートを使い、また国内ブランドは主に乳幼児用品店の販売を重視しているのに比べ、明治はどちらもシェアを握れずにきた』と語った。(『財新網』10月24日)



 中国では以前このコラムの「たかが粉ミルク、されど粉ミルク」で書いたように、2009年のメラミン混入事件以来、乳児用粉ミルクは直接輸入、代理輸入、そして並行輸入を問わず輸入品が人気である。乳幼児の親たちが海外ブランドの存在を知るのは口コミの場合も多く、香港市場に並ばない日本ブランドはそれほど知られていない。もちろん、それは並行輸入の話で明治が中国国内で取り扱っているミルクとはなんの関係もないが、並行輸入品をネット購入する親たちにとってそこにないブランドの存在感は当然薄い。これも「認知されない」理由の一つだ。

 さらに『21世紀経済報道』もこう伝える。


 卸売業者は、日中の政治関係が不安定なことを理由に、一部日本企業が中国に戦略的な大量投資をしないのだと言う。「ここ数年、中国の粉ミルク市場は狂ったように成長しており、欧米のブランドはそこに狂ったようにお金を投じてユーザーを囲い込んでいるが、明治の投資は少なく、またその重心は上海省、江蘇省、浙江省という3つの華東市場にだけ置かれているのだから、業績がよくならないのは当然だろう」

「明治製品を取り扱ったときの粗利益は他の外国ブランドとそう変わらないが、メーカーがその他に投資をしないのだ。広告を落とさず、キャンペーンも足りない、そんな状態で(卸売業者に我が社の製品に)賭けてくれと言われても、彼ら自身が投資しないのに誰がお付き合いしてくれるんだ?」

「(Eコマース大手の)京東商城でのデータが多くの問題を証明してくれる。(アメリカのブランド)アボットには6万件あまりのコメントが付いているのに、明治製品へのコメントはわずか77件だ」

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