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「SHERLOCK シャーロック」ブームに思うこと - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2014年1月23日 8時5分

 一方で、ここ2〜3年、国内人気テレビ番組の配信権獲得競争も起きており、ますます商業化、そして娯楽動画視聴ハブになりつつある。政府はお茶の間に流れるテレビには厳しい検閲を課しているが、動画サイトは今のところほとんど規制もなく、海外ドラマもほぼカットなしで流れている。皮肉なことに今でも当局の規制がテレビ業界をつまらないものにしており、これがますます人々を動画サイトに引きつけている。地下鉄やバスでじっと携帯に見入っている人のうち、最も多いのがゲームや動画鑑賞で、それに閲覧が続く。

 中国にはすでに6億人を超えるネットユーザーがおり、そのうち携帯電話を使ってネットを楽しむユーザーは81%という統計が出ている。そのうち「音楽やビデオを楽しむ」人が47%以上、動画アプリをダウンロードした人は一昨年の2倍以上に増えた。そしてどこでも手軽に楽しめる動画サイトは今年、さらに大きな成長が見込めると言われており、複数の動画サイトが独自の番組やドラマ作りにも乗り出しており、今後若者向け市場ではテレビに取って替わる傾向を見せている。

 動画サイトでは日本のアニメやドラマも人気だ。これらは政治的、時期的、そして当局が定めた枠などの理由から、テレビで流すのは難しいものも多いはずだ。ならば、思い切ってこうした動画サイトときちんと手を組んで流すようにすれば、観たい人は集まってくるし、良い作品ならもっと人を引き寄せるだろう。どこかの動画サイトに独占権を落とせば、海賊版は彼らが目を光らせるはずだ。日本企業だってスポット的にCMも落とせるはずだ。

 BBCが動画サイトと手を組んだのは賢かった。中国の人々は思う存分、ドラマを楽しめたし、今でも楽しめている。この「シャーロック」ブームを見る限り、やはり優れた文化コンテンツとは、政治家や企業家が何を言おうが何をしようが、うまく国境を超えて観た人々の心を虜にするクールなツールになるのだなぁ、と感心しているところだ。




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