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も〜いーくつね〜る〜と〜お正月〜 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月2日 12時11分

 実際には2つしかない電話番号にかなりの人たちがかけまくったらしく、多くの人たちが「話し中になっている!」「もっとかけろ、誰かが出るまでかけ続けろ!」と声を掛け合っていた。「つながらない」「誰も出ない」「話し中だ...」とヒートアップする中、「相手が出た。みんながかけている電話は休日中の特別ホットラインで、まだ休みじゃないから誰も出ないと言っている」などの声も流れてきたが、多くの人たちは電話攻撃という「腹いせ」を楽しんでいるようだった。

 そんな「伝統的なお正月を過ごせない腹いせ」の一方で、伝統的すぎるお正月に辟易している人もいる。適齢期の若者の中には1年に1度田舎に帰って顔を合わせる親戚に、「結婚はまだか」「恋人はいないのか」「子供はまだか」といろいろ詮索されるのが嫌だという人も増えてきた。数年前からこの時期のためにわざわざお金を払って帰郷用恋人をレンタルするビジネスも話題だという。ある友人は見たいのは親の顔だけなので、親戚一同が帰ってくる正月を外して帰郷するのだと言っていた。

 そう、相変わらず「民族大移動」であることは間違いなく、今年ものべ36億人がこの時期に移動すると言われているが、田舎に帰るのをおっくうに思う人も以前と比べて増えてきたようだ。すでに都会で結婚して家を買って......という人の中には、逆にこの時期に田舎から両親を呼び寄せて都会で正月を過ごす人もいる。日頃は仕事があるので来てもらってもあまり構えないから、お正月なら日頃ならごった返す街もそれなりに歩きやすくなるし、異郷のお祭り気分を味合わせてやれる。悪いアイディアではない。

 だが、「帰りたくない」という人の理由からは、すでに都会の生活に慣れてしまった若者が、明らかに故郷に馴染めなくなっている点も見受けられる。たとえば、「家に帰ると寒くてしょうがない」。中国では長江以北の都市の一般集合住宅では集中暖房が常識になっているが、それのない長江の南に帰る人、あるいは都会ほど住環境が良くない田舎に実家がある人にとっては、1年で最も寒い時期をわずか数日でもそこで過ごすのはとても辛い。子供の頃に過ごした環境でも、都会生活に慣れてしまった身にはもう馴染めない。

 さらに昨今では、「家に帰るとネットができない」という声もちらほら聞こえる。日頃老人だけで暮らす実家ではWiFiどころかインターネットすらなく、日頃オフィスや自宅のWiFiを満喫している人たちは退屈でしょうがない、というのだ。特に都会暮らしの人たちはすでに日常テレビを見なくなり、モバイル端末で映画や外国ドラマを楽しむのが習慣になっている。WiFiがなければそれもできない。それが苦痛でたまらない、というのである。

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