1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

東莞、東莞 - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月13日 7時0分

 だが、番組放送直後からインターネットに流れ始めた人々の反応は、その期待とは180度違った。人々は口々に番組を製作した中央電視台を罵り、挙句の果てに「東莞がんばれ! 今夜、俺たちはみんな『東莞人』だ!」「泣くんじゃない、東莞」「東莞のために祈りを捧げる」などという、かつての地震の被災地に寄せたエールをもじった言葉まで飛び出した。以前「朝日君」の名前で親しまれた「文字絵」の作者、「@王左中右」さんが書いた「東莞で3級地震発生」の文字は多くの人たちに転送された。この「3級」とは地震の震度を指しているが、実は近隣の香港では、公開映画の検閲でエロ・グロ・暴力が過剰な作品には「3級」、つまり成人指定のマークが付く。それを引っ掛けたもので中国人ならひと目で意味がわかるほどよく出来ていた。

 だが、この番組に対する批判はそんなネットユーザーによるおちゃらけや揶揄だけではなく、学者やその他ジャーナリストからも激しい声が上がっている。

 特に中央電視台という国の権威性をまとった特殊なメディアが振るった権力に対して、ジャーナリストはことの外厳しく叱責している。そのうち、コラムニストの秦子嘉さんが書いた記事はあちこちで大きな反響を呼び、多くの人たちにシェアされた。そこにはこう書かれている。

「中央電視台の記者は中央電視台の威を借り、メディアのいわゆる監督権利を借りて、この業界の潜入報道を行ったことは、それ自体がすでに『ゴマを見て、スイカを見ない』というミスを犯している。中国にはこんな話よりもっと多くの、もっと重要なニュースがあるはずなのに、これまで一度も中央電視台の記者が取り組んだ報道は見ていない。彼らは楼堂館所に潜入した? できない。彼らは地下煉瓦工場に潜入した? できない。彼らは血汗工場に潜入した? できない。本当に怖くて出来ない時もあるんだろうが、一方でそんな苦労をするのは嫌だと思っているのだろう」

 ここで秦さんが触れている「楼堂館所」というのは、国家機関や政府、あるいは軍隊が作ったクラブ的な内部組織のこと。官吏や軍人など特権的な世界に生きる人たちがそこで本当に何をしているのか、本当に報道されているものはほとんどない。「地下煉瓦工場」とは各地から誘拐されたり、あるいは人身売買で集めてきた人たちを労働力にレンガ造りをする工場。数年前に摘発された例では足に鎖を付けられ、かつての奴隷同然のように働かされていた人たちが救出された。中には子供や、身体や知能に障害を持っているために売られてきた人もおり、NGOが一部を救出したもののその後再び工場主と見られる人たちに誘拐され、また行方不明になった人もいる。「血汗工場」とは低条件で労働者を働かせている工場のこと。これらはすべて特殊な環境に守られつつ、違法な行為が行われている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください