人々はスマホに自分の運命を賭け始めた? - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り
ニューズウィーク日本版 / 2014年2月24日 7時43分
ひとつはタクシー呼び出しアプリの競争激化だ。微信を運営するIT企業「騰訊 Tencent」がここ1年ほど人気を集めていたタクシーアプリ「ディーディー打車」を買収し、一方で電子コマース最大手の「アリババ」がこれに対抗してタクシーアプリ「快的打車」を打ち出した。これらは自分の現在地と目的地をアプリを通じて伝え、近くを走るタクシーからの連絡を待つというもの。中国には日本のようにタクシー無線がなく、道路際に立って空車を見つけられなければ大変な思いをするハメになる。タクシーアプリはそんなタクシー無線のオペレーターのようなサービスである。
まず、テンセントが「ディーディー打車」を利用した客に運転手から10元(約170円)返金サービスを導入。さらに微信に銀行ATMカードを登録し、連携して電子決済機能を使えばさらに10元ディスカウントされるというキャンペーンを始めた。これにアリババの「快的打車」が対抗し、アリババが持つ中国最大の電子決済サービス「淘宝」を利用して同額の返金+ディスカウントを実現した。
たかが170円と笑うなかれ。首都北京ですらそのタクシーの初乗り料金は13元(約220円、〜3キロ以内まで)。つまり、10元ディスカウント+現金10元返金となれば、6キロ以内なら無料、あるいはコーラ1本分くらいのお小遣いを稼げる。この仕様は全国共通なので、タクシー初乗りが10元などという地方都市ではまるまる「タダ乗り」できる。ウソみたいな話だが、「ディーディー打車」のアプリユーザーは2月9日までに4000万人を突破、キャンペーン開始前から倍増したという。
そのタクシーアプリ競争のさなか、旧正月まであと1週間という時になって微信が「紅包(お年玉)合戦」を打ち出した。これは微信の電子決済を使って、微信上の友人たちにお年玉を配るというサービス。銀行カードを連携させた微信電子決済ユーザーであれば、受け取ったお年玉をそのまま銀行口座に預け入れることができるシステムになっていた。
テンセントはさらにそれに、自分の友人複数を一つのグループに集めて一定額をそこに投入し、友人たちに取り合いさせるというゲーム性を取り入れた。例えば20人のグループに合計500元(約8500円)を投入して、20人がそれを競争のように奪い合う。だが、それぞれが手にできる「紅包」はその500元がランダムに分割されており、必ずしも早い者勝ちではなく、ある人が受け取るのは20元(約260円)だったり、ある人は100元(約1700円)だったりする。そして受け取った人が再びお礼も兼ねて、自分の友人を集めてまたお年玉を投下...
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