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人々はスマホに自分の運命を賭け始めた? - ふるまい よしこ 中国 風見鶏便り

ニューズウィーク日本版 / 2014年2月24日 7時43分

 この新しい試みが爆発的な話題を呼び、お年玉ごっこが微信中で繰り返され、一時は「キミはいくら手に入れた?」が友人同士のあいさつにまでなった。一方で、奪いとったお年玉は3日以内に銀行口座に入金しなければキャンセルされ、また銀行カードを連携させていない(つまり、電子決済ユーザーではない)人は奪いとったお年玉を銀行口座に入金することができないため、そのままお金は元の持ち主に差し戻されるという仕組みになっていた。

 その結果、大晦日から正月8日目までの9日間に、800万人余りの微信ユーザー間でなんと4000万件分のお年玉が行き来し、ピークとなった大晦日0時前には1分間に2.5万件のお年玉がやりとりされたという。この「お年玉合戦」ゲームに乗り遅れまいと慌てて銀行カードを微信に連携させる人が続出、一時は微信電子決済ユーザーが一挙に6億人に増えたという噂も流れたが、テンセントは「ユーザーが急増したのは認めるが、さすがにそれは大げさだ」と否定している。

 だが、旧正月の休み中、この騒ぎを黙って指をくわえてみているしかなかったアリババの総帥、ジャック・マー(馬雲)氏の闘争心にさらに火をつけたと言われる。

 年が明けると、タクシーディスカウント合戦はさらに加熱、「ディーディー打車」はディスカウント額を12〜20元の段階性を導入、すると「快的打車」のアリペイは「永遠にライバルより1元上」を宣言した。中国の二大IT大富豪のテンセントトップの馬化騰とアリババトップの馬雲の2人が身銭を切りながらのこのタクシーアプリ+電子決済合戦がどこに行き着くのか、人々は笑いながら見守っている。

 だが、この両者がこうして凌ぎを削るのはそうして獲得したユーザーたちが、それぞれの電子決済を使って消費するのを期待しているからだ。すでにア リババは電子コマースの雄「淘宝」、そしてその電子決済サービスであるアリペイで先を行っているが、昨年新たな理財サービスの提供を開始。銀行の預金金利 (3%台)を大幅に上回る、年間6%以上の利回りを約束して注目され、サービス開始からわずか7ヶ月あまりで4900万ユーザー、2500億元(約4兆2 千億円)を集めたと言われている。

 テンセントも同様の展開を睨んで理財サービスを提供し始めており、その入口が微信の電子決済サービスとされている。加えてテンセントは今月に入って人気店舗評価サイトの「大衆点評」の株式20%を取得。レストランの紹介では業界トップ1の同サイト利用者を通じてさらにユーザー拡大を狙っている。

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