<震災から5年・被災者は今(1)> 義母と補償金を親族に奪われて
ニューズウィーク日本版 / 2016年3月2日 16時30分
義母には、他の帰還困難区域に暮らしていた人たちと同じように、補償金が1540万円支払われている。それに加えて、自宅の賠償金として500万ほどが支払われていたという。
義母を引き取った義姉たちは、結局、東京近郊にある自分たちの自宅に義母を住まわせることはなく、2015年12月に福島県内の介護施設に義母を入居させた。そして義姉らは、施設に本田と面会させないよう指示した。長年一緒に暮らし、義母とともに酪農に精を出してきた本田は、「会いに行っても面会すらできない状況が続いている」と言う。その一方で介護施設の入居金などは、請求書が本田のところに郵送され、彼女がすべてを支払っている。
今、本田は、別の親戚などからアドバイスを受けて、義姉らに対する訴訟を準備している。弁護士と相談しながら、義母が自分の意思を自由に語れるようにしたいと考えている。
被災地では、こうした話は珍しいことではない。同じような補償金をめぐる親族内の揉めごとは、他の被災者からも耳にした。本田のようなケースは、災害発生から5年後に被災者が直面する、悲しい現実の1つだ。
<震災から5年・被災者は今(2)> 原発作業で浴びた放射線への不安
[リポート]
山田敏弘
ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などで勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員として国際情勢の研究・取材活動に従事。訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)。
[写真]
郡山総一郎
1971年生まれ。写真家。2001年から写真家として活動し、「FRIDAY」「週刊文春」「AERA」「Le Monde」「Esquire」など国内外の媒体で写真を発表している。写真集に「FUKUSHIMA×フクシマ×福島」など。第7回上野彦馬賞グランプリ受賞。
(ウェブサイト、インスタグラム)
山田敏弘(ジャーナリスト)
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