パナマ文書、中国の現状を解剖する
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月7日 20時0分
8.胡耀邦(元中共中央総書記、1982年~1987年):三男の胡徳華がオフショア会社1社の董事長で株主。
9.毛沢東(建国の父!):孫の娘婿・陳東升がオフショア会社1社の董事長で株主。
これらを一つ一つ説明すると、一冊の本になるくらい膨大な文字数となる。そこで今回はまず、以前から噂されている李鵬の娘と習近平の姉夫婦に関してのみ論じる。それ以外は、時間が取れれば、徐々に解説していこうかと思う。
李鵬の娘・李小琳
2014年1月1日、中国のネット空間に「2013年度 中国人クズランキング」が現れた。筆者はさすがに「クズ」という言葉を使うのがはばかれ、「ワースト」と置き換えて、2014年4月に『中国人が選んだワースト中国人番付――やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』(小学館新書)を出版した。
その「クズランキング」の3位に挙げられていたのが電機業界を一手に牛耳る李小琳だ。
李小琳は、88年から98年まで国務院総理(首相)だった李鵬の娘である。李鵬は1989年6月4日の天安門事件では、民主化を訴える若者たちに容赦ない武力鎮圧を指示した強硬派。
その娘の李小琳は父親の利権をのうのうと受け継いで、その後、「国際電力国際発展有限公司」の董事長、「中国電力新能源(エネルギー源)発展有限公司」の董事長、「澳門(マカオ)電力」の理事、「香港中資企業協会」執行理事、「中国電力企業聯合会」常務理事、「中国工商理事会常務理事」など、中国の五大電力会社のほとんどを牛耳っている。当然ながら巨額の賄賂が動いているはずだ。そのためクズランキング3位の地位を獲得したと言っていい。
それ以外にも李小琳にはスキャンダルがつきまとっていた。
ことの発端は、中国大富豪の一人である「東方集団」の総裁・張宏偉が元駐米代表の部下(姓は趙)を、2009年12月にアメリカで起訴したことから始まる。これは財政部長を巻き込んだ大変な事件へと発展していくが、裁判の過程で明らかになった事実を、裁判をずっと傍聴してきたイギリスの"The Telegraph"が、2013年10月10日にスクープした。それは、スイスのチューリッヒ保険会社(Zurich Insurance)の中国事業参入に関して、趙のクラスメートだった李小琳が絡み、かつ不正な賄賂が動いたというものだ。
1996年11月12日にバハマ国にあるオフショア銀行に開設した口座をめぐり、当時の財政部長(薄熙来と関与)や国土資源部部長(周永康と関与)などを巻き込んで、闇の世界が展開していた。
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