個人を尊重する社風づくりで電力業界の競争を勝ち抜く
ニューズウィーク日本版 / 2016年4月8日 18時14分
「私にとって次のステップは、組織をどうファシリテートしていくかですね。目に見える製品、環境だけではなく、クリエイティビティやチームスピリットなどの目に見えない要素を考えていくのが仕事になると思います。それで、イノベーションのチームに加わったんですよ」
チェンジマネジメントがワーカーを起業家に変えた
プロジェクトのプランニングは、2008年から2010年にかけて行われた。30週を費やしてマネジャー全員に設備やルールなどをじっくり説明した後、チームを対象にした説明会を実施。チェンジマネジメントにより起こることを全て明示した。その後もモニタリングを続け、現場からのフィードバックを取り入れながら、慎重に変革は進められた。
働き方の変化として顕著なのは、マネジャーと部下の役割の変化である。これまでマネジャーの役割といえば、部下に指示を与えることが主だった。しかし「いつでもどこでも仕事ができる」勤務体系とはいかにもミスマッチだ。
平均週2日の自宅勤務は、マネジャーと部下の間の物理的な距離を広げた。自宅勤務が増えることによって、オフィスにおける従業員の占有スペースが減少。結果、かつてオランダ国内に13カ所あった同社オフィスは4カ所になった。ここスヘルトヘンボスの本社オフィスにしても、6万平方メートルの床面積のうち実際に使用しているのは3万平方メートルでしかないのだ。しかも、従業員はどのオフィスにも所属しておらず、好きな場所へ通勤できる。自然、マネジャーと部下の距離は、より一層離れていく。
「例えば、アムステルダムに住む社員がスヘルトヘンボスまで出勤するのが面倒だというなら、自宅で仕事をすればいいし、他のロケーションのオフィスを使ってもいい。そんな使い分けをするんです」
こうした勤務形態が浸透した今、「従業員がみな独立して仕事ができるツールを与えること」が、マネジャーに求められる役割だという。
「今回のチェンジマネジメントには、従業員それぞれがアントレプレナー(起業家)になるというコンセプトも背景にあるんです。となると、マネジャーはそれを手助けするのも大切な役割の1つ。マネジャーが部下に業務を与えて管理するのではなく、チームの一員として求められる結果を示し、その責任を担うことを部下に求めるということです。エッセントの採用面接においても、自宅勤務が可能か、独立して仕事ができるか、という点を必ず聞いています」
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