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個人を尊重する社風づくりで電力業界の競争を勝ち抜く

ニューズウィーク日本版 / 2016年4月8日 18時14分


[課題]  競争が激しい電力会社で勝ち抜ける土台を固める
[施策]  働き方の自由度を挙げ個性を尊重するオフィスづくり
[成果]  優秀な人材が集まる企業へ


 欧州には多くのエネルギーサプライヤーが存在する。各社とも「差別化の手段は価格のみ」という厳しい環境下、電力供給以外に活路を見出している昨今だ。

 しかし「エッセントにはしたいこと全てを実現するリソースがなかった」とイノベーションアクセラレーション・マネジャーのマルセル・ブロウメルス氏は述懐する。「だからなんです、私たちは皆クリエイティブになり、生産性を向上させる必要がありました」

 2009年から2012年にかけて実施された抜本的な改革は、従業員の働く場所と時間の自由度を上げ、個性を尊重する方向へと舵を切るものだった。固定席は廃止、従業員は週2日の自宅勤務というワークスタイルへと変貌を遂げた。これにより同社のオフィス数は国内13カ所から4カ所にまで一気に集約。エッセントはオペレーションコスト削減と生産性の向上の両立に成功したのである。

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コンセプトはアクティビティ・ベースト・ワーキング

 今回訪れたのは、のどかな田舎町スヘルトヘンボスに建つエッセントの本社ビルだ。古い建物を残しながら増築を重ね、そこに大胆なリデザインを施している。アクティビティ・ベースト・ワーキング(通称:ABW)をワークスタイルのコンセプトとし、固定席を設けず様々なワークスペースを用意。オープンエリアにソファスペース、スタンディングデスクなどの選択肢から、ワーカーはその都度仕事内容に最適な場所をセレクトすることになる。

 他人の目にさらされることなく作業に集中したいときは、個室のコンセントレーションブースに籠もり切りになるのもいいだろう。1階の巨大なアトリウムもワークスペースの1つに数えられる。しかし本来の意図は多目的なオープンスペースといったところ。確かに、同僚とコーヒーを片手に話し込む従業員もいれば、ランチをとる者、打ち合わせをする者がおり、文字通りの多目的空間。朝夕は特にラウンジとして用いる従業員が多いという。

【参考記事】自治の精神で育む都市のフロンティア

 このアトリウムから延びる階段を降りると、地下のミーティングルームに突き当たる。以前は全面コンクリートむき出しの寒々しいスペースで、従業員の人気は今ひとつ。現在はフットボールのイメージやエッセントがサポートする鹿保護区のイメージなどを取り入れ、誰でも親しみの持てるデザインとなった。

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