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能力が低いから昇進できない、という人はめったにいない

ニューズウィーク日本版 / 2016年5月10日 17時22分

 こうした点について話すのは重要だが、自分の頭の良さを示そうとして必要のない細部にはまらないように注意してほしい。たとえば、なぜこの仮定を選び、他の4つの仮定を採用しなかったかとか、なぜこの方法を採用し、他の2つは利用しなかったのかなど細かい解説は必要ない。上司は結論を知りたがるものだ。別の分析ができたかもしれないと思えば、上司のほうから質問するだろう。

 これは、私が身をもって体験したことだ。若かった私は、与えられたほんの一部の分析作業をした際に、自分がいかに優秀か、いかに徹底した分析を行ったかを示したいと思った。チームとして上司に報告するとき、私は結論を出すためにかなりの作業をしていたので、自分が報告することに固執した。

 私は分析の背景から、情報を集めるのにかかった時間、結論を出すのに利用したあらゆる情報源、データの問題点、などを事細かく説明していった。15分ほど説明した時点で、上司が口をはさんだ。「で、結論は何なんだ?」



 私はあっけにとられて、ほとんど口もきけなくなった。上司がなぜそのような反応をしたのか、ずっとわからないでいた。どれほど徹底した分析をしたのか、彼は知りたくなかったのだろうか? なぜあの手法と仮定を選んだのか、その理由を言う必要がなかったのか? 私の知性を示すことはできなかったのだろうか? 私が出した結論は、上司の望んだとおりのものだったが、上司をうならせることはできなかった。あまりに詳細な情報を出しすぎたために、大変な努力の結果をほとんど評価してもらえなかったのだ。

 焦点を絞り、効率的に報告していれば、分析結果を上司から評価されていたはずだ。そのうえ私自身も、報告すべきことや、上司の時間の使い方を判断できる、気のきいた優秀なアソシエイトだと認識してもらったはずだ。おそらくその上司とすぐにまた仕事をする機会を得られただろう。実際には彼と仕事をする機会は長い間もらえず、数少ない絶好の取引の機会も逃してしまった。

 何をどのように話すかで、職場であなたがどのように認識されるかが決まってしまう。その認識は、組織内での昇進に直接影響を与えることがわかっているのだ。

※シリーズ第1回:「5年を1単位」としてキャリアプランを考えよ
※シリーズ第3回:キャリアを左右する「職場プロフィール」とは何か


『モルガン・スタンレー 最強のキャリア戦略』
 カーラ・ハリス 著
 堀内久美子 訳
 CCCメディアハウス

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