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NY著名フレンチシェフが休業、日本に和食を学びに来る!

ニューズウィーク日本版 / 2016年6月17日 16時12分

 今は、フランスのシェフの多くが昆布、味噌、柚子などを使っている。食べている側はそれらが日本のものだとは分からないし、日本の食材は健康的という利点もある。

(左から)雲丹のキャビア乗せ、クズ製のクラッカーに黒トリュフを乗せたアミューズ、黒トリュフと鰹ダシをマリアージュさせたフラン(筆者撮影)

――和食に関心を持ったのはいつですか。

 90年代後半のことだ。一度ブーレイを閉じてタイ王国の王室シェフを務めていた際、辻さん(編集部注:辻調グループ代表の辻芳樹氏)が「東京に来てください、1週間料理を教えましょう」と誘ってきた。行ってみると、1日目は丸一日ダシ作り。2日目はまた別の種類のダシ作り......。とても面白いと思い、その3年後には日本から食材を取り寄せるようになった。クズ、西京味噌、昆布、数種類の醤油や餅などだ。

 和食ブームのおかげで今は当時の3倍の種類の食材が手に入るようになったが、クズやダシをフランス料理に取り入れたのは私が最初だ。現在はニューヨークにいるビジネス関係者が和食の素材に興味を持っていて、その対象はクズ、さまざまな種類の豆腐、湯葉、蕎麦、漬物など多岐に渡る。

――日本で好きなレストラン、トップ3を教えてください。

 まず絶対に、京都の「天ぷら 松」。息子が店を継いでいるが、彼はブーレイで数カ月働いていたことがある。次は京都の「吉兆 嵐山本店」で、伝統が息づき完成されている。銀座の「壬生」も好きだが、ここは会員制。他にもたくさんある。銀座の「寿司幸」や京都の「未在」も好きだし、大阪の「カハラ」も素晴らしい。



――ニューヨークで1番好きな日本食レストランはどこですか。

 ブラッシュストロークだ(笑)。

――ブラッシュストローク以外でお願いします!

(少し考え込んで)......ないな。(イースト・ビレッジの寿司店)ジュエル・バコはオーナーが昔私の下で働いていたので、行くとスペシャルなメニューを出してくれるが、私はあまり和食を食べに出かけない。フランス料理も外で食べない。フランス料理が食べたくなったらJFK空港に行って、フランスに飛ぶ。和食が食べたいときは、日本に食べに行く。辻さんたちのせいで、ニューヨークで和食が食べられなくなってしまった(笑)。日本のスタンダードはとても高いから。

――ブーレイが休業する際には、ブラッシュストロークも閉店するのですか。

 いや、ブラッシュストロークは続けるが、レストラン自体は進化させていく。店内を3つのエリアに分けて、1つは懐石、1つはもっとカジュアルに、1つは寿司オンリーという風に。日本では寿司、懐石、天ぷら、蕎麦は別々の店で食べるものだが、アメリカ人はまだその点をよく理解していなくて、全て同じように出てくるものだと思っている。全部を少しずつつまんで、一晩で4つのレストランに行ったかのような体験を求めている。

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