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【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(後編)

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月6日 6時7分

<2016年5月27日のオバマ広島訪問に先立ち、本誌は原爆投下を決断した第33代米大統領ハリー・トルーマンの孫、クリフトン・トルーマン・ダニエルを訪ねていた。今回がインタビューの後編。2012年に初めて日本を訪れたダニエル。筆者がインタビューで、謝罪や責任をめぐる質問を敢えて何度もダニエルにぶつけた理由とは> (写真:クリフトン・トルーマン・ダニエル、2016年5月、シカゴにて)

※【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(前編)

――日本を訪問する前に、行くことが怖くなったりはしませんでしたか。

 ほかにもそう思っている人がいたが、怖くはなかった。ただ、私の訪問が日米双方で間違った形で受け止められないか、建設的で前向きな訪問にできるのかという点は心配だった。

 日本に到着してテレビ局のインタビューを受けた際、「謝罪をしに来たのか」と聞かれた。私は「いや違う。死者に敬意を表し、生存者の話を聞きに来た。謝罪が目的ではない」と答えた。その記者はとても攻撃的で、通訳が気分を害してインタビューを止めようとしたほどだった。

 そのとき、佐々木雅弘がこう切り返してくれた。「あなたがダニエル氏にヒロシマについて謝罪を求めるなら、ダニエル氏は真珠湾について謝罪を求めてもいいはずだ。だが、そこから何が生まれるのか」 

 スタートは悪かったが、その後の日本滞在は素晴らしく、メディアも好意的だった。私が会った被爆者は誰一人として謝罪を求めたり怒りを見せたりしなかった。被爆者たちは一般的に謝罪を求めていないと聞いている。彼らにとって、謝罪を受けることより重要なのは体験を伝えることなのかもしれない。核爆弾の恐ろしさを伝えて、二度と使われないようにするために。

――謝罪について問われて、「戦争を始めたのは日本じゃないか」と反論したくなったことは?

 ないない、私にはそうした怒りはない(笑)。ただ、祖父は言い返したことがある。確か1958年のテレビインタビューで、彼は原爆を使ったことに良心の呵責や戸惑いは一切ない、もしまた同じ状況に直面したら再び投下を決断するだろうと語った。これに広島市議会が激怒して、祖父に発言の撤回を求める手紙を送った。

 祖父は戦争に至る経緯を順序立てて説明する丁重な手紙を送り返し、もし日本が真珠湾を奇襲攻撃しなければ、これらすべてのことは必要なかったと結論付けた。祖父は「そっちが先に始めたんだろう」とやり返したわけだ。

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