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【原爆投下】トルーマンの孫が語る謝罪と責任の意味(後編)

ニューズウィーク日本版 / 2016年8月6日 6時7分

――オバマが謝罪することはないでしょうが、もしも彼が原爆投下は間違っていたと述べたら、あなたはどう思うでしょう?

 そんなことは言わないだろう。これは私の想像でしかないが、もしそう言ったとしても、一部の日本人は喜ぶかもしれないが、多くは喜ばないと思う。私の感覚では、それはすべての日本人が望んでいることではない。

 それに、原爆投下は過ちだったと口にすれば、大半のアメリカ人は激怒するだろう。繰り返しになるが、謝罪は求められてはいないのだと思う。求められているのは、何があったのかを正直に認めることだ。

 私なら被爆者にこう言える。祖父は戦争を早期に終結させ、アメリカ人の命を救うことを最優先にして原爆投下を決断した。彼は日本人の命も救いたいと願ってはいたが、優先的に考えたのは自国民の命だ。

 私は祖父を敬愛している。だが一方で私には、その決断によってひどく傷つけられた友人たちがいて、彼らのことも敬愛している。被爆者たちは、祖父の決断によって大きく、大きく傷つけられた。

 オバマ大統領はこういう言い方もできるかもしれない。アメリカはすべきと思うことをやった。だが、それがもたらした傷についても認めないといけない。

 同じように、日本人も連合軍の戦争捕虜の扱いをめぐる問題を認めるのに苦労してきた。誰も悪者にはなりたくないし、なる必要もない。私は日本人が(アメリカ人の)戦争捕虜を傷つけた嫌な国民だなんて決して思わない。戦争捕虜を苦しめた日本人もいたが、それは日本人全員ではない。日本人を集合体として語ることはできない。

【参考記事】「オバマ米大統領は謝罪すべきだった」亀井静香衆院議員に聞く



――原爆について、日本側の物語を知らなければよかったと思ったことはありますか。

 ノー、ノー! なかなか話す機会がないのだが、日本に行ったとき、成田空港から宿泊先の品川に向かう電車の中でものすごく興奮したんだ。「日本にいるんだ! すごい!!」と。窓の外には田んぼと家屋が見えた。私は『鉄腕アトム』のような日本のアニメを見て育ち、大人になるにつれてさらに多くの日本のものがアメリカに入ってきた。息子と一緒に宮崎駿監督の映画も見た。だから日本に着いたときは、「素晴らしい!」とうれしくなった。

 まじめな目的で訪日していたから注意が必要だったが、実際には心からうれしかった。日本でスシを食べる、広島でお好み焼きを食べる、サケを飲む。最高だった。いつも話から漏れてしまうが、私たちは日本の食べ物も文化も大好きだ。

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