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神父からインディオスまで ベネズエラ9.1大規模デモの参加者たち

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月16日 6時20分

 さらに、今回のデモに合わせて海外から取材に来た取材陣が次々と入国を拒否されました。アルジャジーラのクルー、続いてコロンビアのラジオCaracol、アメリカのナショナル・パブリック・ラジオ(NPR)、フランスの新聞ル・モンドの記者が「入国不適格者」とされ、追い返されたのです。

 カラカスに取材に来たマイアミ・ヘラルドの特派員は、合法的な報道ビザでカラカス入りしていたにも関わらず、移民局に拘束されパナマに送還されました。

 外国の報道の締め出しにより、情報が海外に伝わらなくなるどころか、逆にベネズエラ政府の報道の自由の侵害を世界中に広めることになりました。

デモ参加者に対する脅し

 9月1日を控え、防衛省は当日のドローンによる写真撮影を禁止、内務省は暴動鎮圧のための武器の使用許可を発表しました。

 政府高官のディオスダド・カベジョはジョン・ゴイコチェアに対する告発に続き、野党メンバーがUCAB(カトリカ・アンドレス・ベジョ大学)に武器を隠し持ちクーデターを起こそうしていると非難、これに対して断固とした姿勢で対処するとの見解を示しました。
内務大臣ネストル・レベロルは「抗議は条件付きの権利であって、絶対的な権利ではない」と発言、カラカス首都区の市長ホルヘ・ロドリゲスは執拗に野党派がクーデターを企画していることを主張、首都区長ダニエル・アポンテは「混乱を起こす集団は治安部隊に鎮圧される」と発言、CLAPの代表フレディ・ベルナルは「木曜にデモに行くつもりの人は二度と帰ってこれると思うな」とデモ参加者を脅しました。

 このように、ベネズエラ政府高官は「デモに参加する奴は有無を言わせず弾圧するぞ」というメッセージを発信していました。この挑発ともとれるメッセージを見るに、政府当局は反政府派との激しい衝突を望んでいるかのようでした。
急激に独裁色を強めた政府の動きから、ベネズエラ政府にとって9月1日の大規模な抗議運動がどれほど大きな脅威であるかは明らかで、9月1日当日は政府当局によるひどい弾圧が起きるだろうという懸念が高まっていました。

政庁ミラフロレスには行かない

 デモ前日、チュオ・トレアルバMUD代表は政府との正面衝突を避けるため、デモの正確なルートを発表します。そしてマドゥロのいる政庁ミラフロレスには行かないことを決めました。政府支持者とむやみにぶつかり、混乱を起こすのは得策ではない、あくまで平和的なデモを行うというのがMUDの方針でした。

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