神父からインディオスまで ベネズエラ9.1大規模デモの参加者たち
ニューズウィーク日本版 / 2016年9月16日 6時20分
夜8時から一斉にカンカンカンカンカンカンカンカンという音がカラカス中で響いていました。
ビジャロサでのカセロラソ
さらにデモ以上にベネズエラ中を驚かせ、マドゥロ政府を震撼させたのが、デモの翌日に起きたこの事件。マルガリータ島のビジャロサで、住民が鍋叩きの抗議でマドゥロを追い立て、罵倒を浴びせるビデオの流出です。ビジャロサは従来熱心なチャベス主義者の集まる地域として知られていました。そのような場所でのこの光景、権力も何も持たない人々が一国の大統領に対して直接鍋を叩いて抗議する様子は衝撃的であり、感動的ですらあります。
Para que lo vean con detalle:Maduro no aguantó el cacerolazo y terminó a golpes con habitantes de #VillaRosa pic.twitter.com/dsCkRfSdaX— Indignados Venezuela (@indignadosvene2) 2016年9月3日
#VillaRosaでネットが祭り状態になった後、政府当局はビジャロサの住民の家を一軒一軒まわり携帯を没収しました。しかし、ネットは当局の動きよりもずっと速く、現地住民20名を逮捕尋問する頃、大部分の国民はすでにビデオを見てしまっていたのです。
9月1日の抗議運動とは何だったのか
今回のデモで明らかになったのは、何よりも圧倒的な数のマドゥロに反対する人々の存在と、以前では考えられないほどに数の減った政府支持者のコントラストです。これはチャベスが政権を取って以来初めてのことでした。
このデモが大統領罷免に続くものであることは前回説明しました。これに加えて、9月1日のデモとビジャロサでの抗議で注目すべきは、ベネズエラ国民全体がマドゥロに退陣を迫る方向に動きつつあるという点です。
これまでの17年間、ベネズエラの政治は常にチャベス主義者(政府派)と野党派(反政府派)の根深い対立を中心に語られてきました。しかし、この与野党の対立という構図に変化が見られ始めています。今なお熱心にチャベスを信奉している人々も、マドゥロ政権に退陣を迫り抗議の声をあげています。
長年、野党派内ではチャベス主義者を自分たちの陣営に取り込まない限り政権奪取は不可能だと言われてきましたが、今回のデモでは、それがいまだかつてないほど現実的に感じられました。
※当記事は野田 香奈子氏のブログ「ベネズエラで起きていること」の記事を転載したものです。
野田 香奈子
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