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法のスキルを活用し、イノベーションを創出しやすい環境を作る

ニューズウィーク日本版 / 2016年9月22日 7時35分

 こうしたクリエイター向けの法律相談や社会におけるオープンなデザインについて模索する中で、3Dプリンターなどを活用したデジタルファブリケーションを推し進めるファブラボ* の活動にも関わるようになりました。

ともに企画を練り上げていくプランナーの役目も

 2012年末に勤めていた法律事務所を退職、翌13年に「シティライツ法律事務所」を立ち上げました。現在では、コンテンツ系のクリエイティブ分野、ウェブやテクノロジーなどのIT分野、それに建築・不動産分野という3つの軸を中心にリーガルサービスを提供しています。3Dプリンターの普及などにより、従来扱っていなかった製造業などのクライアントも増えてきました。また、建築家などはクリエイティブ分野で以前からもクライアントではありましたが、民泊や遊休不動産活用、街づくり、リノベーションといった具合にテーマに広がりが出てきていますね。

 最近はオープンソースのビジネスへの援用、あるいはオープンイノベーションを実現したいということで、規模の大きな企業からも企画の法的な妥当性や利用規約の作り方について相談を受けるようになってきました。そういう意味では法人の垣根を越えて混ざり合う中で面白いものが生み出せるのではないかとも感じています。

 何かトラブルがあったときに、それを解決する** のももちろん弁護士の仕事なんですけど、僕の場合、ことが起こる前に法に抵触しないラインはどのあたりかというアドバイスをしたり、プロジェクトがスムーズに進むように契約や段取りを考えたりといった仕事も少なくありません。そういう場合は、単なる法的助言者というよりは、一緒に知恵を絞って企画を練り上げていくプランナーのような役割を部分的に担っていると言えるかもしれません。

 インターネットの普及でつくり手と消費者が直接つながるようになり、モノづくりに携わる人たちも適法性やライセンス、契約といった法的な事柄に無関心でいられなくなってきました。そういうところでつくり手や技術者の気持ちがある程度理解できたり、現場の感覚を説明するのに話が早い僕のような弁護士の出番が増えているのかもしれません。

【参考記事】ノイズこそ大切に守るべき創造性の種



人、モノ、コトが邂逅する環境を生み出したい

 コンテンツ分野のリーガルサービスからスタートして、今やハードウェアや建築・不動産まで幅広く請け負っているわけで、何をやっている弁護士なのかわかりにくいとよく言われるんですが(笑)、俯瞰してみると僕の活動の基軸にあるのは、さまざまな有形無形のリソース(資源)を権利からいったん解きほぐして整理し、流動化させることで、人、モノ、コトが邂逅するような環境を生み出したい、ということなんだろうなと思います。ブリ・コラージュを生み出す環境をいかに作るか、ということです。

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