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習近平、アジア3か国歴訪とBRICS首脳会議――その戦略と動向

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月17日 16時35分

 中国の習近平国家主席はカンボジアを訪問し、バングラデシュを経由してインド入りした。中国による猛烈な抱き込みが進む中、露印が防衛協力を強めるなど、親米ではない動きが渦巻いている。ネパールの動きも見逃せない。

習近平国家主席、カンボジア訪問

 カンボジアと中国との関係は、7月25日付の本コラム<チャイナマネーが「国際秩序」を買う――ASEAN外相会議一致困難>で触れたように、中華人民共和国誕生後あたりから考えると、先のシハヌーク国王が中国に亡命したことに象徴される。シハヌーク国王の墓が北京にあることからも分かるように、中国は現在のシハモニ国王(シハヌーク元国王の息子)とも仲がいい。今般のカンボジア訪問に当たり、習主席はシハモニ国王とだけでなく、モニニャット王太后(シハヌーク元国王の夫人)とも会っている。モニニャット王太后はフランスとイタリヤとクメールの血を引くことが影響しているのか、王室らしい気品に満ちた顔だちを、中国の中央テレビCCTVが映しだした。

 我が国の安倍首相と会う時にはあれだけ傲慢極まりない表情をする習主席が、よくぞここまで下手(したで)に出ると思われるほど、うやうやしい面もちで会談していた。

 その習主席がカンボジアのフン・セン首相との会談となると、突然、自信に満ち満ちて、「中国の一帯一路(陸のシルクロード経済ベルトと海の21世紀海上シルクロード)構築に伴い、中国はカンボジアと、生産能力、貿易投資、農業、観光およびインフラ建設などにおいて協力を進め、二国間経済貿易協力は迅速に進んでいる」とした。

 またカンボジア側としては、人民元決済を促進させ、一帯一路により構築された経済回廊を軸としてカンボジア経済を発展させていく旨の意向を示した。

 カンボジアとの経済貿易協力を後押しして、カンボジアを完全に中国側に引きつけて離さない勢いだ。

 ラオスはもともと一党支配の社会主義国家。旧ソ連の崩壊とともに中国との緊密度を増している。

 これで、フィリピンのドゥテルテ大統領を含め、ラオスとカンボジアとの蜜月関係を継続していけば、南シナ海問題に関して「怖いものなし!」。

 この自信は日本に向けられ、東シナ海での覇権を強める傾向に結びついていくことだろう。

 なにしろ、カンボジアとの共同声明では、「南シナ海問題に関しては、関係国同士の話し合いによって解決する」という文言を明記してしまったほどだから。

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