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習近平、アジア3か国歴訪とBRICS首脳会議――その戦略と動向

ニューズウィーク日本版 / 2016年10月17日 16時35分

 (筆者:ネパールは実は親インドと親中の間で揺れてきた。中国としては「親中」で固定させたい思惑がある。インドの経済成長のポテンシャルが高いからだ。)

(5)印露首脳会談――ロシア、インドに軍事協力約束!

 個別会談は複層的に行なわれ、インドのモディ首相とロシアのプーチン大統領との間でも開催された。

 フランスのAFP通信がインドの軍事関係者の話として伝えたところによれば(と中国メディアが伝えた)、両国は国防を中心として数百億ドルにおよぶ協定を結び、印露は少なくとも200機以上の軍用ヘリ、カモフ(Kamov)の共同製造に合意したという。またロシアはインドに最先鋭の地対空ミサイルS-400を提供するとのこと。

 AFPがロシアのメディアがインド軍関係者を取材した報道を引用している部分もあり、情報源がかなり複雑だ。

 インドは日米露そして中国に対してと、顔を使い分けているように感ぜられる。

 しかしBRICS諸国における今回の一連の動きでは、少なくとも親米ではない要素が互いを結びつけていることは確かだ。

BRICSの可能性と中国

 いずれにしてもBRICS枠内諸国のGDPは全世界の20%を越えており(購買力に換算すると2014年で30.2%。EU16.6%、アメリカ15.9%。The World Factbookより)、人口に至っては40%を越えている(42.7%)。

 他の西側先進諸国が経済成長の鈍化に悩む中、BRICSとその周辺諸国(発展途上国)には経済成長の潜在力、ポテンシャルがあり、今後の発展空間が残されている。特にインドにはその可能性が高い。

 ただ、中国のような一党支配による独裁国家は、一党支配ゆえに、限りない腐敗と不正を招く。中国の経済発展が鈍っているのは、この腐敗と不正だ。一党支配を続けている限り、そこには限界がある。中国の戦略はたしかにしたたかだが、民主のない世界制覇にはつねに危機が潜んでいる。日本の外交手腕に注目したい。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)



※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)


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