「打倒トヨタ」を掲げ、地域が共に闘う空気を意図的につくる
ニューズウィーク日本版 / 2016年10月21日 15時48分
決めた目標は必達させる。これを2年、3年と続けると勝ちグセがつく。
負け組の雰囲気が漂っていた職場の士気を高めるためには、社員の意識改革も大きな課題でした。
具体的には活動理念やミッションをビジョンとして示して、それらを実現するために長期・短期の計画へブレークダウンしていきました。ミッションを果たすために、5年後には売上をいくらにするか、そのためにはスポンサーがどれくらい必要で、チケットはどれくらい売れないといけないかといった具体的な目標を設定。さらにその計画を担当する責任者を決めて、月単位、週単位でプロセス管理を徹底しました。
「日本一の球団を目指す」というような大きな目標をいきなり掲げても、資金繰りもおぼつかない状況では到底信用されません。でもビジョンを示して、段階的に1つ1つ実績を作っていくと組織は変わってきます。2年後に5億円の売上を立てると決めたら必達させる。3年後に7億といえば必達させる。これを2年、3年と続けると勝ちグセがつきます。その先にさらに高い目標を掲げても、何とかなるだろうと受け入れられる土壌ができてくるんです。
権限移譲は社長の責任放棄にもつながる
そして「成果に対するリターンを享受できる組織になる」とビジョンに掲げているわけですから、業績が良くなれば必ずスタッフに配給します。すると信頼関係が生まれ、さらに頑張ろうと奮起して、組織はいっそう成長していく。プラスのスパイラルでどんどん成果を出し続けていける組織に生まれ変わるんです。
叱咤したり鼓舞したり、悩んでいるときはじっくり話を聞いたりしながらプロセス管理を徹底して勝ち組の意識を植えつけていく。突き詰めれば社長の仕事はこれに尽きると思います。
権限委譲をよしとする意見も耳にしますけど、社員数が100名くらいまではトップがきめ細かく見ていくのがいいと私は考えています。ベンチャー企業の社長が中途半端なところで「ナンバー2がほしい」とか「現場の裁量権を拡大させたい」と言い出したら、それは疲れている証拠ではないかと(笑)。
組織の規模がまだ小さいうちは社長が全て見ていくくらいの気構えがなければ成長は望めないと思いますね。ですから将来的な権限委譲を念頭に置いているリーダー格はもちろんいたとしても、基本はトップが掌握してプロセス管理をしっかりやっていく。100人規模になるまではそういう方法でいこうと思っています。
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