「ドナルド・トランプの世界」を読み解く
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月17日 15時50分
自身の経営理念やビジネスの「秘訣」を教えるという触れ込みで設立した「トランプ大学」ではペテンまがいの商法で高額な受講料をだまし取ったとして、トランプは提訴までされている。今月末に公判が予定されており、次期大統領が被告でもあるという前代未聞の事態が起きている。
気さくで、ユーモアあふれる気のいい男。自身を大きく見せ、富と名声に異常なまでの執念を燃やし、勝つためには手段を選ばない男。おそらく、どちらも本当のドナルド・トランプなのだろう。ビジネスマンとしての長年のキャリアを通じて裏で見せていた顔が彼の正体でなければ、一体何が本当のドナルド・トランプなのか。
トランプは自著『トランプ自伝──不動産王にビジネスを学ぶ』(邦訳・筑摩書房)の中で、ジミー・カーターやロナルド・レーガン両元大統領を見かけ倒しの政治家とこき下ろす前に、こう記している(英語版からの翻訳)。
「人をだまし通すことはできない。熱狂的な空気をつくり、素晴らしいプロモーションを展開し、メディアの反響を受け、少しばかりの誇張はしてもいいだろう。しかし結果を出さなければ、いずれは見透かされる」
ごもっとも。これまでのトランプの言動からすると、信じ難い文章ではある。だが、ドナルド・J・トランプは来年1月20日以降、ホワイトハウスの新たな主として、自身の言葉によって試されることになる。
ニューズウィーク日本版
2016年11月22日号
「総力特集:ドナルド・トランプの世界」
CCCメディアハウス
【参考記事】ニューストピックス:トランプのアメリカ
[2016.11.22号掲載]
横田 孝(本誌編集長)
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