【写真特集】捨て犬支援はスタイリッシュに
ニューズウィーク日本版 / 2016年11月29日 16時0分
<ニューヨークの写真家リチャード・フィブスが、マンハッタンのホームレス犬をスタイリッシュな写真で撮影。彼らの新しい飼い主を見つけてやろうというのが狙いだ>
愛くるしい瞳にユーモラスな表情、すましたポーズ。彼らはファッション撮影のモデル犬? いや、捨てられてニューヨーク・マンハッタンのシェルターに身を寄せたホームレス犬だ。
撮影したのは、トップブランドの広告や有名ファッション誌で活躍する写真家リチャード・フィブス。動物愛護団体ヒューメイン・ソサエティー・オブ・ニューヨークのシェルターで未来の飼い主を待つ犬たちの助けになりたいと、2012年から一風変わった撮影を続けている。それぞれの犬の個性を捉えたスタイリッシュな写真で、新たな飼い主を引き付けようという狙いだ。
【参考記事】<写真特集>娯楽で殺されるライオンたち
そんな写真をえりすぐったのが写真集『レスキュー・ミー』。それぞれの犬にイラストレーターによるレタリングで名前を添え、彼らがシェルターにやって来て新たな家族を見つけるまでの道のりも紹介している。
「私が撮るホームレス動物の写真は、人々を悲しませるためのものではない。ゴールはすべての動物に新たな家を探すことだ」と、フィブスは言う。彼の作品は単なる犬の肖像にとどまらず、動物をめぐる心温まるストーリーも語り掛ける。
Photographs from "Rescue Me" (Aperture) © Richard Phibbs
<ゼッピー>写真集の表紙を飾ったゼッピーがシェルターに来たのは3歳のとき。感染症で耳に痛みを抱え、毛はもつれ過ぎて刈らなければならない状態だった。アーティストとギャラリー経営者のカップルに引き取られ、毎日2人と一緒に仕事場に行く
<リトル・ローウェル>5月のうだるように暑い日、ケージに閉じ込められて放置されていたのを警察官が発見。汚れて尿まみれ、極度の脱水症状になっていた。損傷した右の眼球は摘出しなければならなかったが、手術や感染症を乗り越え、新たな飼い主に出会った
<フィン>元の飼い主は、このロングコートチワワを買ってすぐに手放した。まだ生後2カ月のことだった。写真家フィブスは、フィンの撮影をすると「すぐに絆が生まれた」と言う。フィンのことが頭から離れず、引き取ることに。今ではいつも一緒の相棒だ
<セドリック>飼い主一家にひどい犬アレルギーがあることが分かり、生後5カ月でシェルターに追いやられたコッカプー(コッカースパニエルとプードルの雑種犬)。新たな飼い主は、別のコッカプーを飼っており、その弟分としてセドリックを迎えた
<チェルシー>捨て犬のラブラドルレトリバーの雑種犬。頭や体に傷があり、ベイトドッグ(闘犬の興奮をあおるため餌食として利用される犬)だった可能性がある。治療を受けて次第に陽気な性格を取り戻したチェルシーは、3歳直前に新たな飼い主に巡り合えた
<ハミルトン>チワワの雑種犬のハミルトンは2歳。テキサス州のシェルターで殺処分される直前に救い出された。ニューヨーク大学の学生である新しい飼い主は、大好きな建国の父アレグザンダー・ハミルトンにちなんで彼を命名し、愛情を注いでいる
<本誌2016年11月18日号掲載>
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Photographs by Richard Phibbs
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