オルト・ライト(オルタナ右翼)とは何者か
ニューズウィーク日本版 / 2016年12月12日 16時0分
【参考記事】オルタナ右翼とゲーマーゲートと呼ばれる事件の関係
そもそもこの運動を勢いづけた移民問題やアメリカ経済の低迷、ポリティカル・コレクトネスに対する不安は、トランプが大統領選への立候補を表明するかなり以前から叫ばれていた。政治学を研究するフランシス・フクヤマが指摘したように、問うべきなのは、なぜポピュリズムというブランドが2016年に突然人気を得たのかではなく、なぜ台頭にこれほど長い時間を要したのかという点だ。
今後も支持を集めるか?
大統領選でのトランプの躍進は、今後数年アメリカでオルト・ライトが影響力を発揮する可能性を浮き彫りにした。今月19日に行なわれる選挙人投票でトランプの勝利はほぼ間違いない。だがいくつかの激戦州では僅差の勝利だったことを考慮すると、オルト・ライトを含めた多方面からの支持が選挙結果に極めて重要な役割を果たしたといえる。
事実関係は定かでないが、共和党予備選や大統領選で最も熱心にトランプの票集めに動いたのはオルト・ライトだったと指摘する声もある。トランプ陣営は、運動のメンバーにトランプとの面会の機会も提供していた。
大統領選の直後、スペンサーはトランプの勝利について「白人のアイデンティティーを取り戻す政治に向けた第一歩であり、最初の舞台だ」と言った。バノンがトランプの首席戦略官・大統領上級顧問に任命されたのを受けて、極右グループがホワイトハウスを侵食するという危惧が現実になったという見方も一部にはある。
だがもしトランプが「メキシコとの国境に壁を造る」など、選挙戦で最も売りにしてきた公約を実現できなければ、オルト・ライトの期待は幻滅に一変するかもしれない。
昔ながらの白人ナショナリストの運動と異なり、オルト・ライトは特定の言葉や思想的因子、シンボル、多数のブログや主流派と一線を画すメディアを含めて、自分たちの世界だけで持続可能な反体制文化を生み出そうと取り組んできた。
今や一定の群衆から支持を集めて存在意義を示したことからも、これからオルト・ライトはアメリカの政治で足場を固め、勢力を拡大しそうだ。
George Michael, Professor of Criminal Justice, Westfield State University
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
ジョージ・マイケル(米ウェストフィールド州立大学教授、専門は刑法)
この記事に関連するニュース
-
ルーマニア大統領選、「SNS戦略」成功でプーチン賛美の「極右」が予想外の首位...若年層の不満を代弁
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月26日 17時14分
-
「人種の壁」を超えたヒーローたち...大谷とジャッジが示した「多様性の理想」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月14日 19時0分
-
〈米大統領選〉アメリカのキャンパスで起きているトランプ氏を支持する保守派と、リベラルな政治団体の深刻な対立
集英社オンライン / 2024年11月6日 11時0分
-
アメリカのZ世代の投票がトランプ復活阻止の鍵? 日本より選挙資金の透明性がないアメリカの若者にとっての大統領選挙
集英社オンライン / 2024年11月6日 11時0分
-
なぜトランプは共和党を乗っ取れたのか…「陰謀論を撒き散らす大統領候補」にアメリカ国民が熱狂する理由
プレジデントオンライン / 2024年11月4日 7時15分
ランキング
-
1トランプ新政権の閣僚候補に「爆破予告」など脅迫相次ぐ…FBI「事件を把握」と声明
読売新聞 / 2024年11月28日 18時21分
-
2ウガンダで地滑り、15人死亡 113人不明、豪雨原因か
共同通信 / 2024年11月29日 8時47分
-
3「新型ミサイルでウクライナ中枢攻撃も」 プーチン氏が警告 露主導同盟の首脳会議で
産経ニュース / 2024年11月28日 21時3分
-
4スウェーデン首相、海底ケーブル切断で中国に正式な捜査協力要請
ロイター / 2024年11月29日 8時23分
-
5ドイツ 地下シェルターを整備 北欧「戦争に備えよ」と冊子配布 ロシア核威嚇で欧州緊張
産経ニュース / 2024年11月29日 9時3分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください