1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

「世界一の祝祭」リオのカルナヴァルは熾烈なリーグ戦だった

ニューズウィーク日本版 / 2017年3月27日 15時19分

<リオのカルナヴァル(カーニバル)はブラジル人の男女が踊るただの巨大パレードではない。実はサンバチーム対抗のコンテストであり、外国人も多数参加。日本では実態がきちんと伝わっていないが、果たして世界中で人気を博している理由とは?>

1月下旬から3月上旬にかけ、世界最大の祭りがブラジルのリオデジャネイロで開催された。リオのカルナヴァル(カーニバル)だ。

今年、リオのカルナヴァルのピークは2月25日(土曜日)から27日(月曜日)だったが、この3日間だけで約110万人の観光客がリオを訪れ、そのうち40万人が外国人観光客だった。リオ市の公式発表によれば、3日間の経済効果は約30億レアル(約1000億円)に上った。

毎年行われる世界的に有名な祭りだから、日本でも当然よく知られている。しかし、その報道はごく一部の表層を伝えるに限られ、実態はきちんと伝わっているとは言いがたい。

実際、サンバの音楽に合わせて、派手に着飾ったブラジル人の男女が踊る巨大なパレード......あるいは、サンバはカルナヴァル用の音楽ぐらいにしか思っていない人も多いのではないだろうか? しかしどちらも事実ではない。

リオのカルナヴァルでは大小さまざまなイベントが開催されるが、世界中にテレビやネットで中継・生放送されるメインイベントは、実はサンバチーム(「エスコーラ・ヂ・サンバ」と呼ばれる地域に根ざしたサンバ・コミュニティー)対抗の巨大パレードコンテストの熾烈なリーグ戦だ。また、地元リオっ子だけでなく、外国人も毎年数百人規模でこのパレード・リーグに参加しており、日本人のパレード参加経験者もすでに累計で数百人に上る。

単なる1国の伝統的な祭りに過ぎないのであれば、そこまで注目に値するものではないだろう。しかしリオのカルナヴァルは一過性の消費的な"観光客向けの祭り"ではなく、今や世界各地から人を惹きつける"参加・挑戦型"の言わば「サンバ・メジャーリーグ」として盛り上がっているのだ。

健康的な肉体美と開放感は日本の感覚と異なり、そこに安易なエロス感はない

サッカーと同じでリーグ降格もある熾烈な争い

ここで、リオのカルナヴァルの全容を説明しておこう。主に2つに分けられる。

1つは、封鎖された一般道や公共広場で行われるカルナヴァル。今年は、リオ市に公式登録された451のグループ(「ブロコ」と呼ばれる数百人規模の楽団)が各地で578回のパレードを行った。また、リオ市各地の大きな広場に日本のフェスと同様のステージが設営され、有名・無名を問わないミュージシャンが核となったフリーライブが同時多発で開催された。リハーサルや重要な役目が特になく、サンバに限らずカルナヴァルで過去に流行したさまざまなジャンルの曲を演奏するものがほとんどなので、一般の地元リオ市民から外国人までが気軽に多数参加している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください