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英国で認知症患者の旅行が人気の兆し

ニューズウィーク日本版 / 2017年5月16日 15時15分

英国で、認知症患者向けの旅行が人気の兆しを見せているという。通常、認知症の人と介護者向けの旅行というと、介護者が休むことを目的としているものが多いようだが、認知症の本人にも楽しんでもらえる内容だ。

患者と介護者が共に楽しむ旅行

英国中央部レスターシャーにある会社「マインドフォー・ユー(Mindfor You)」は、認知症の人と、その介護者を対象に旅行を提供している。初年度の2015年に提供した旅行数は8回だったが、2016年には15回に増え、今年はさらに増えそうだという。マインドフォー・ユーのバル・ジョンソンさんがBBCスコットランドのラジオ番組『グッドモーニング・スコットランド』に出演して語ったとBBCが伝えた。

ジョンソンさんは番組で、通常の認知症患者向け旅行の場合、認知症を介護する人が休暇を取るための旅行となり、認知症の人は別の介護施設で過ごすことになると説明。しかし介護者は認知症患者の配偶者であることが多く、2人が別々に時間を過ごすことがストレスの原因にもなりうるという。「なかには結婚して60年以上、離れて過ごしたことなどないという夫婦もいます」とジョンソンさんはラジオで話した。

自身の経験から必要性を実感

マインドフォー・ユーのウェブサイトによると、共同設立者で最高経営責任者のキャロル・サージェント氏は、自身も認知症の実母と義母を介護しており、認知症を患う人が楽しめる旅行が少ないと感じていたことがきっかけで、同社を設立したという。

テレグラフによると、サージェント氏は80歳の母親エリザベスさんが従来的な「レスパイトケア」(介護者の負担軽減のために一時的に代わってケアを行う施設)に滞在した際、エリザベスさんは自分が「施設に送られた」ことに戸惑いや怒りを抱き、夫(サージェント氏の父)で介護者のジョンさんと離れ離れになってしまったことに動揺していたという。一方でジョンさんは、エリザベスさんが施設に滞在中ずっと、知らない人たちに囲まれて過ごしているであろう妻を心配していたという。

マインドフォー・ユーが提供する旅行は、認知症の人と介護者、2人が旅行の対象で、目的地はスコットランドのハイランド地方やウェールズ北部、イングランドの海辺デボンなど英国内12カ所。テレグラフの記事では、それぞれ認知症の配偶者を持つ3組の夫婦が、3人の介護士とともに5日間の休暇を楽しむ様子が伝えられている。この時は南イングランドのドーセットにあるコテージに滞在し、軽いエクササイズを楽しんだり、ホテルで食事を味わったり、蒸気機関車に乗ったりといったアクティビティをしたという。

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