ミッションを遂行する者たち──マニラの「国境なき医師団」
ニューズウィーク日本版 / 2017年5月29日 18時30分
手の打ち方に抜かりはなかった。"時間がかかる"問題に、ジェームスたちは確実な処方せんを出していた。
「マニラのミッションで一番大変なことは何でしょうね、ジェームス?」
やはり最後に広報の谷口さんが聞いた。
するとジェームスはジェームスらしく短く答えた。
「誰かのアポをとること」
そして自ら吹き出した。
そしてデモ隊
外では反マルコスのデモが始まっていた。
かつて1980年代に民衆が革命で追い落としたマルコス政権だったが、現在のドゥテルテ大統領が彼マルコスの冷凍された遺体を国家の英雄墓地に埋葬したことを受け、反対運動が盛り上がっていたのだ。
デモ隊が近くの広場に集合する予定だったので、俺もそこへ行ってみることにし、実際にフィリピン国民がどう政治参加しているのかを知ることになるが、それは次回の冒頭にでも触れたい。
ともかく非常に感銘を受けた、とだけ早めに書いておこう。
<続く>
いとうせいこう(作家・クリエーター)
1961年、東京都生まれ。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・映像・音楽・舞台など、多方面で活躍。著書に『ノーライフキング』『見仏記』(みうらじゅんと共著)『ボタニカル・ライフ』(第15回講談社エッセイ賞受賞)など。『想像ラジオ』『鼻に挟み撃ち』で芥川賞候補に(前者は第35回野間文芸新人賞受賞)。最新刊に長編『我々の恋愛』。テレビでは「ビットワールド」(Eテレ)「オトナの!」(TBS)などにレギュラー出演中。「したまちコメディ映画祭in台東」では総合プロデューサーを務め、浅草、上野を拠点に今年で9回目を迎える。オフィシャル・サイト「55NOTE」
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
いとうせいこう
この記事に関連するニュース
-
ハイチ:空港再開を受け、ジャンボ機で80トンの物資を搬入 安全な物資輸送を引き続き訴え
国境なき医師団 / 2024年7月16日 17時17分
-
スーダン:首都で支援する病院から全スタッフの引き上げを決定――相次ぐ暴力に活動継続は困難に
PR TIMES / 2024年7月13日 17時40分
-
スーダン:首都で支援する病院から全スタッフの引き上げを決定——相次ぐ暴力に活動継続は困難に
国境なき医師団 / 2024年7月12日 15時59分
-
国境なき医師団、ミャンマー・ラカイン州北部での医療活動を停止
国境なき医師団 / 2024年7月3日 14時2分
-
病院への道は「死のわな」──パレスチナ・ヨルダン川西岸で何が起きているのか
国境なき医師団 / 2024年7月1日 18時29分
ランキング
-
1イスラエルの入植活動は国際法違反、ICJが勧告 イスラエル反発
ロイター / 2024年7月20日 1時26分
-
2バングラデシュ全土に夜間外出禁止令発出へ…政府はネットを遮断、デモ死者105人に
読売新聞 / 2024年7月20日 12時31分
-
3キーシン氏を「外国の代理人」指定…「我々はプーチンとその取り巻きより長生きする」とSNS投稿
読売新聞 / 2024年7月20日 17時2分
-
4バイデン撤退論が米民主党で急拡大、要求の議員計35人に 本人は選挙戦継続訴える
産経ニュース / 2024年7月20日 8時41分
-
5世界的システム障害、復旧になお数日か 米政権も調査に
ロイター / 2024年7月20日 6時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください