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スプレーをかければ何でもタッチパネルに変身

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月15日 17時0分

<柔らかい物もでこぼこの物体も、あらゆるものを特殊な塗料の被膜で気軽にタッチスクリーン化する新技術が登場>

空港の自動チェックイン機にせよ、ファストフード店の注文端末にせよ、反応のよいタッチスクリーンは実に便利だ。だがどれも、ガラス製の平らなものばかりでそれ以外の形状の物は見当たらない。ところが最近になって、ほぼあらゆる物体をタッチスクリーンに変えられる新しい技術が登場した。

「エレクトリック」と名付けられたこの技術は、米カーネギー・メロン大学未来インターフェース・グループが開発したもの。特殊なスプレー塗料の被膜で表面を覆うことで、さまざまなものをタッチスクリーンに変えることができる。このスプレーを塗布した机をタップするとあら不思議、パソコンでアプリケーションソフトが立ち上がるといったこともできる。

スプレー缶の中身の正体は、導電性のあるカーボン塗料。タッチスクリーンとして機能させるには、この塗料で覆った物体に電極(そしてもちろん、電源やパソコン)を取り付ける必要がある。すると指で表面を押したときに、電界トモグラフィーと呼ばれる技術によって電気の流れが妨げられたことが検知される。指の位置は1センチの精度で感知されることから、物の表面にバーチャルな「制御ボタン」を作ることができるわけだ。

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「スプレー塗料を使ってほぼあらゆるものにタッチスクリーンを付けられるようになったのはこれが初めてだ」と、同グループの責任者を務めるクリス・ハリソン助教は言う。また、研究チームの一員で大学院生のヤン・チャンは、この技術を使えば塗布する物体が「大きいか小さいかにかかわらず、また平らかでこぼこしているかにかかわらず、簡単に安価に」タッチスクリーンに変身させることができると語る。

これまでのところ、大型のタッチスクリーンは高価だし、表面がでこぼこだったり柔らかかったりするタッチスクリーンは主に研究施設でしかお目に掛かれなかった。この中には画像認識技術を用いるタイプもあるが、ディスプレイ表面の指の動きを感知するカメラの視界が遮られてしまえば役に立たない。

研究チームは今、エレクトリックの応用先を探している。ギターや机、フルーツ味のゼリーや粘土細工、それに車のハンドルまで、さまざまな形状のものでこの技術が使えることは既に証明済みだ。ギターであればエフェクター、車のハンドルならオーディオの操作など、新たな機能を持たせることもできるという。


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[2017.7.18号掲載]
アンソニー・カスバートソン

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