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オフィスデザインに訪れた「第四の波」とは何か

ニューズウィーク日本版 / 2017年10月26日 18時36分

世界が足並みを揃えて一斉に変化するわけではない

ワークプレイスの進化をたどっていくと、「誰もが先駆者であり、誰もが変わっていき、誰もが変化と同じペースで変わっている」と考えがちです。 しかし実際には、日本でもイギリスでもアメリカでも、まだテーラリスト・オフィスがたくさんあると思います。

そうした企業は社員の快適さや健康維持にそれほど注意を払いません。ひたすら効率を追求します。それは古い経営モデルですが、生活と仕事の境界線をくっきりと維持できるので、例えば役所のようなオフィスには有効です。テーラリスト・オフィスはまだ存在し、それを好む人たちもいる、それはそれで何も問題ありません。

また、ソーシャル・デモクラティック・オフィスの会社も依然として多くあります。仕事は職場で行うという前提のオフィスですから、病気でも出勤しなくてはなりません。テーラリスト・オフィスよりは快適で設備も整っていますが、職場に来なければ仕事ができないという意味でネットワーク化されていません。そして、それも別に問題はありません。世界が足並みを揃えて一斉に変化するわけではないのです。

しかし、テーラリスト・オフィスとソーシャル・デモクラティック・オフィスのどちらも、空間的にもコスト的にも効率的に劣る面があることは明らかです。最先端を行く企業は実際にあり、グローバル展開する大手のオフィス開発会社はスマートビルディング技術の実用化に取り組んでいます。世界は徐々に変化している。その認識は持っておくべきでしょう。

WEB限定コンテンツ
(2017.1.27 ロンドンのヘレン・ハムリン・センター・フォー・デザインにて取材)

text: Yoshie Kaneko
photo: Saori Katamoto

※インタビュー後編:「社員の生産性」より「より良い仕事体験」が主流に

* フレデリック・テイラー
アメリカの経営学者。

** ワークサイトでは、グラクソ・スミスクラインのアメリカ本社(フィラデルフィア)を取材している。こちらもソーシャル・デモクラティック・オフィスの一例といえそうだ。
「製薬業界の常識を超える透明性が結果重視のつながりを作る」

*** ハイブ(HIVE)はHall d'Innovation et Vitrine d'Energiesの略。シュナイダーエレクトリックはこのビルを、建物のオートメーションシステムとエネルギーに関する自社ソリューションのショーケースと位置付けている。

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