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プーチンがもくろむアフリカ進出作戦

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月6日 15時45分

隣国のリビア問題でも両国は足並みをそろえており、欧米が支持する暫定政府ではなく、リビア東部を支配しているハリファ・ハフタル将軍を支援している。ロシア軍がリビア国境に近いエジプト西部の空軍基地からハフタルを支援するための空爆を行うことも考えられる。リビアの油田地帯の利権を押さえるとともに、ロシアの超大国としての復活を印象付けるために。

ソ連時代からの同盟国への関与を強め、サハラ砂漠から南にかけて橋頭堡を築きたいとロシアは望んでいる。例えばアンゴラは今、ロシアの影響力拡大の最大の標的となっている。ロシアの国営企業もアンゴラの豊かな天然ガスや石油の資源を狙っている。

重要な協力分野の1つが通信だ。ロシアはアンゴラ初の通信衛星を開発し打ち上げたが、その「動機」には疑いの目が向けられている。ロシア政府と関係があるハッカー集団が、アフリカと中東の商用衛星通信を乗っ取って欧米の政府機関にサイバー攻撃を仕掛ける際の隠れみのにしたとの疑惑がある。

ラブロフは今年3月にアフリカ東部と南部を歴訪したが、訪問先はアンゴラ、エチオピア、モザンビーク、ナミビア、ジンバブエといった旧ソ連時代の同盟国だった。この「復権ツアー」の目的は武器取引の拡大、ダイヤモンド利権、エネルギー開発だ。米外交政策評議会のスティーブン・ブランク上級研究員は、「欧米に対抗するグローバル政策の一環」だと指摘する。

ロシアのアフリカ進出が全て成功しているわけではない。アメリカはアフリカ最大の常設軍事基地を紅海に面する小国ジブチに置き、イエメンとソマリアでの対テロ作戦の拠点にしている。

昨年8月には中国も近くに基地を開設したが、ジブチの外相は「代理戦争の舞台になる」ことは望まないという理由で、国境地帯でのロシアの基地設置を断っている。



緊密な同盟国でロシア製の武器や軍事技術の長年の買い手であるスーダンでは、もっとうまくやっているようだ。昨年11月には、スーダンのオマル・ハッサン・アフメド・アル・バシル大統領(虐殺や戦争犯罪の容疑で国際刑事裁判所に訴追されている)がモスクワを訪問しプーチンと会談。ロシア製ジェット機や防空システムの購入と、同国の紅海沿岸へのロシア軍基地の誘致に関心があると表明した。

スーダンは「アメリカの攻撃的な行為からの保護」を必要としていると、バシルは主張した。

第2のシリアになる可能性ロシア軍は既にスーダンに入っている可能性もある。昨年12月には親ロシア系新聞の記者アレクサンドル・コチが、スーダンの砂漠で現地の兵士を訓練するロシア人教官とされる動画を投稿した。あるロシアの退役軍人組織は先日、ロシア政府は中央アフリカ、リビア、スーダンの戦闘地域に民間軍事会社を送り込んでいると述べた。

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