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女性蔑視のトランプを支える「トランプの女たち」のナゾ

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月27日 17時0分

彼女は11年に「イバンカ・トランプ」ブランドを立ち上げた。夫ジャレッド・クシュナーとの間に3人の子を儲け、ワーキング・マザーのイメージを売り込む。しかしアメリカのフェミニストたちは、彼女のことをベルサイユ宮殿に偽の農家を建てさせ、乳しぼりの娘の服装で田舎気分を楽しんだ王妃マリー・アントワネットのようだと思っている。

トランプが大統領に就任して、マスコミが一家のビジネスについて調査を始めると、イバンカがニューヨークからパナマに至る各地の怪しげなビジネスマンと取引している事実が明るみに出た。洗練されたイバンカの存在は、それまで父親の怪しい経歴を覆い隠してくれていた。

彼女が自ら現金の詰まった袋を受け取ることはない。きれいにマニキュアした彼女の手はいつだってクリーンだ。14年にアゼルバイジャンの悪名高いママドフ財閥とホテルのライセンス契約を結んだときは、ホテルが完成して「イバンカ」ブランドのスパに行くのが待ち切れない、「とても大きなスパなの」と話していた。

イバンカは大統領補佐官としてホワイトハウス入りした。彼女の立場はキャロライン・ケネディやチェルシー・クリントンといった歴代米大統領の娘たちよりもむしろ、アンゴラのイザベル・ドスサントスやアゼルバイジャンのレイラ・アリエバといった途上国の政治家の娘に似ている。「アゼルバイジャンのアリエフ家と同様、トランプ家もいずれビジネスの世界に戻る。民主主義にはふさわしくない」と、ビジネス倫理分析機関TRACEインターナショナルの創立者アレクサンドラ・ラゲは言う。



トランプが大統領に就任して日がたつにつれ、イバンカのブランドは非難を浴びるようになった。トランプは国民に「アメリカ製品を買おう」と呼び掛けていたが、イバンカの会社は中国の労働者を中国の最低賃金より低い給料で働かせていた。今年7月、彼女は会社を閉鎖し、「ワシントンでの仕事に集中したい」と釈明した。

イバンカは中小企業庁などの舞台裏で活動し、少なくとも一つ、有意義な仕事をした。途上国の女性起業家のための基金の設立を助けたことで、これは各方面から称賛されている。

メラニアとは違い、イバンカは権力を理解し、愛している。トランプ・ブランド大使として振る舞い、「女性の活躍推進」の旗印の下に世界のトップレベルの人々と人脈を築いている。ただし父親の政権が「女性の活躍推進」に取り組んでいるようには見えない。

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