これが米大企業のほとんどを所有し牛耳るビッグ・スリー
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月12日 13時39分
筆者らが参加しているCORPNET調査プロジェクト(企業支配ネットワークについての研究会)は2017年4月に発表した報告書の中で、ビッグ・スリーの企業所有状況について包括的なマッピングを行った。その結果、3社を総合すると、アメリカの全上場企業の40%で最大の株主になることが分かった。
Figure 1: Network of ownership by the Big Three in listed US firms. (See our paper for explanation of colours).
Fichtner, Heemskerk & Garcia-Bernardo (2017)
2015年、これらの企業(1600社にのぼる)の収益は総額9兆1000億ドル。時価総額は合わせて17兆ドルを上回り、2350万人超を雇用していた。
アメリカの大手企業の株価指標であるS&P500を見ると、状況はさらに極端だ。ビッグ・スリーは、S&P500銘柄の90%近くにおいて、最大の株主となっている。S&P500にはアップルやマイクロソフト、エクソンモービル、GE(ゼネラル・エレクトリック)やコカ・コーラなど錚々たる銘柄が含まれており、S&P500は最も買われているインデックスだ。
Figure 2: Statistics about the ownership of the Big Three in listed US firms.
Fichtner, Heemskerk & Garcia-Bernardo (2017)
ファンドがオーナーと認識を
株式の所有には株主権限が伴う。ブラックロックは2017年3月、自社は株式の「所有者」ではなく、顧客である投資家たちの「証券保管機関」だと主張した。
専門的な分類はともかく、ビッグ・スリーがそれらの株式に付随する議決権を実際に行使していることは否定しがたい事実だ。したがって企業の幹部らは、彼らを事実上の「オーナー」と認識すべきだろう。
ビッグ・スリーは、その影響力を行使したい考えを公然と表明している。2015年、バンガードのウィリアム・マクナブ会長(当時)はこう語っていた。「過去には、当社のパッシブ(受動的)な運用スタイルが、企業ガバナンスに関するパッシブな姿勢を示唆しているという見方があったが、これは誤りだ」
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