1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

これが米大企業のほとんどを所有し牛耳るビッグ・スリー

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月12日 13時39分

そこでこれら3社の投票行動を分析したところ、それぞれ一つの企業統治部門を通して議決権を行使していることが分かった。実際に株式を所有しているのは社で運用している多数の個別のファンドであるため、これはかなりの労力を要する作業だ。

このようにして、わずか3つの企業がアメリカ企業全体にとてつもなく大きな潜在的影響力を行使している。だが興味深いことに、ビッグ・スリーが各企業の年次総会で議決権行使をするときは、90%のケースで経営側の提案を支持している。そして、株主側の提案(たとえば社外取締役を求める案など)にはほとんどの場合、反対票を投じているのだ。(ビッグ・スリーも株主なのに)

ビッグ・スリーは本当は、米実業界に対して影響力を行使することに乗り気ではないという解釈もある。コストを最小限に抑えることを第一目標としているビッグ・スリーが、本当に議決権を望んでいるのかを疑問視する声もある。







ファンド株主の運用益に配慮

それでも、これら3社が企業オーナーとして前例のない立場を占めていることは間違いない。これは将来、どのような結果につながるのだろうか?

研究はまだ初期段階だが、一部のエコノミストたちは既に、この株主権限の集中が競争に悪影響を及ぼしかねないと主張している。

この数十年にわたって、アメリカでは航空から銀行に至るまでの数多くの業界が、一握りの企業によって独占されてきた。そしてビッグ・スリーは(合わせると)ほぼ常に、これらの業界の数少ないプレイヤーの筆頭株主である。

アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空でも、JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカとシティ・グループでも、筆頭株主はビッグ・スリーで、これらの企業はいずれもS&P500の構成銘柄だ。

これらの企業のCEOはおそらく、ビッグ・スリーが自社の大株主であることを十分に認識しており、それを考慮した上で意思決定を下しているだろう。つまり、各航空会社が値下げにあまり意欲的ではないのは、そうすることで自分たちの共通のオーナーであるビッグ・スリーの運用益が減ることになるからだと考えてほぼ間違いない。

ビッグ・スリーはこうした方法で、アメリカ企業の多くに対して、新興の「構造的圧力」を行使しているのかもしれない。

彼らがそれを目指したかどうかに関係なく、ビッグ・スリーは途方もない株主権限を蓄積してきたし、今後もそうし続けるだろう。インデックス・ファンドは規模のビジネスであり、このことは、現時点で別の運用会社が市場シェアを獲得するのはきわめて難しいであろうことを意味する。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください