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遠藤謙、義足開発で起業し、目下の目標は「東京パラ金メダル」【世界が尊敬する日本人】

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月26日 16時30分

<「義足のランナーが健常者より速く走れる日が来るんじゃないか」――そう感じて「Xiborg(サイボーグ)」を起業。全米チャンピオンとの契約も勝ち取った遠藤が語る「大企業とは違う僕たちの役割」>



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◇ ◇ ◇

「今までにない感覚を味わった。もしかしたら義足のランナーが健常者より速く走れる日が来るんじゃないかって」──義足の金メダリスト、オスカー・ピストリウス(南アフリカ)が走る姿を間近で見たときのことを、義足エンジニアの遠藤謙(写真左)は振り返る。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)でロボット義足を研究していた遠藤が、「障害者は健常者を超えられない」という思い込みを覆され、競技用義足への興味が湧いた瞬間だった。

帰国後もソニーコンピュータサイエンス研究所で研究を続けつつ、2014年には元陸上400メートルハードル日本代表の為末大らと共に義足開発企業「Xiborg(サイボーグ)」を起業。春田純、佐藤圭太、池田樹生各選手のほか、2015年、2016 年の全米選手権チャンピオンのジャリッド・ウォレス選手(写真右)と共同開発契約を結ぶ。

ウォレスは契約直後の2017年7月、世界パラ陸上競技選手権の200メートルで金メダル、100メートルで銅メダルを獲得した。

競技用義足ではアイスランドのオズール社、ドイツのオットーボック社が圧倒的シェアを誇り、世界のトップ選手がそれ以外を選ぶのは異例だ。だがウォレスは遠藤の熱意と技術力に未来を見たのだろう。3月22日には自身のインスタグラムで「僕を信頼し、世界を変える技術革新に共に取り組んでくれてありがとう」と遠藤の名を挙げた。

ウォレスの実績もあって、今ではドイツやレバノン、マルタ、インドなどの選手からXiborg社に引き合いがあるという。

遠藤が大切にするのは選手の意見を細かく聞き、各人に合った義足を開発すること。もう1つは「何だこれ⁈」という驚きの瞬間の演出。義足を作るだけでなく、例えば、義足のランナーが街中で走る「渋谷シティゲーム」や、乙武洋匡の義足プロジェクトを仕掛けていくことだ。

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