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ナイキなど米シューズ業界、トランプの追加関税実施なら靴の関税は100%になると悲鳴

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月23日 14時25分

<アメリカ経済に「壊滅的」な影響を与える、という悲鳴も、トランプには聞こえていないようだ>

ナイキをはじめとする主要なシューズブランドは、ドナルド・トランプ米大統領が計画している3000億ドル相当の中国製品に対する追加関税を実行すれば、シューズの価格が跳ね上がる、と警告した。

全米靴流通販売業協会(FDRA)は5月20日付の公開書簡の中で、中国との貿易戦争はアメリカの消費者に「ツケを回す」ものだとして、追加関税は思い止まるよう促した。

トランプ宛ての書簡には、ナイキやアディダスなど約170社が署名した。

FDRAのウェブサイト上で公開された書簡の中でこれらの企業は、「シューズを対象とした25%の追加関税は、消費者と企業、そしてアメリカ経済全体に『壊滅的』な影響をもたらすことになる」と抗議した。

シューズ業界は既に毎年およそ30億ドルの関税を支払っており、これ以上関税が引き上げられることになれば、その影響は主に労働階級の個人や世帯を直撃することになるとした。

アメリカでは、一般的な消費財に対する関税が平均1.9%なのに対して、シューズには平均で11.3%、最大で67.5%の関税がかけられている。

「今後さらに25%の追加関税が課されれば、アメリカの勤労世帯は靴に100%近くの税金を払うケースも生じるだろう。理解できない」と訴えた。

中国から「撤退せよ」とトランプ

トランプが5月13日に発表した第4弾の追加課税計画の対象品目の中に、シューズ類が含まれていた。

だがFDRAによれば、シューズは今でも、1930年に導入された関税の負担に苦しんでいる。その上に今回、追加関税が実行されれば、さらに70億ドル相当の負担が生じることになると推定する。

トランプは13日、貿易交渉においてはアメリカがきわめて優位にあり、中国が譲歩しなければ、アメリカ企業が中国から撤退すればいいと言った。

だがFDRAの公開書簡に署名した企業は、それはコスト面からも調達面からも不可能と一蹴した。

「シューズは資本集約型の産業であり、調達先などについては長期的な計画が必要だ。状況が変わったからといって、簡単に工場を移すことはできない」

(翻訳:森美歩)


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ダン・キャンチアン

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