1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

質問・批判をかわす「安倍話法」には4パターンある、その研究

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月12日 11時0分

だから「朝ごはんを食べたか」については答えず、「ご飯は食べていません」という不自然な返答になる。そうすれば、相手(国会審議の場合は、質問者や国民)に「そうか、朝ごはんを食べていなかったのか」と思わせることも可能になるからだ。



また上西教授は、これに続くやり取りも紹介している。

Q 「では、何か食べたんですか?」A 「お尋ねの趣旨が必ずしもわかりませんが、一般論で申し上げますと、朝食を摂る、というのは健康のために大切であります」Q 「いや、一般論を伺っているんじゃないんです。あなたが昨日、朝ごはんを食べたかどうかが、問題なんですよ」A 「ですから......」(上西充子教授のツイッター)(129〜130ページより)

確かに安倍首相の国会答弁には、こうした話法を使ったものが多い。例えばその一例として、総裁選中の2018年9月17日、安倍首相がTBS『NEWS23』に出演したときのことが紹介されている。

キャスターの星浩氏から、加計孝太郎理事長とゴルフや会食を頻繁に重ねたことの是非を問われて、「ゴルフに偏見をもっておられると思います。今、オリンピックの種目になってますから。ゴルフがダメでですね、テニスはいいのか、将棋はいいのか、ということなんだろうと思いますよ」と持論を展開。(130〜131ページより)

「学生時代からの友人であっても利害関係者との飲食やゴルフなどの交流を持つこと自体を、慎むべきではないか」と追及されているにもかかわらず、「ゴルフはなぜ、いけないんだ」と、開き直って、質問の論点を曖昧にしているということだ。著者はそれを「見ごとなすり替え」と表現しているが、むしろ滑稽に感じてしまうのは私だけだろうか?

さらに安倍首相は、「はっきりと申し上げたいのは、利害関係者から一円の献金も受けていないわけですから。加計さんからもそうですし、獣医師会からも一円も献金を受けていません」と続けている。

「"一円も"献金を受けていない」と強く否定することで、視聴者に「もしや、質問者は間違った情報を首相にぶつけているのではないか?」という「印象」を植え付けつつ、安倍首相は「相手が利害関係者であっても、以前からの友人だから問題ない」という独自の論理を展開(披露)したのだと、著者は解き明かす。

だが、それ以前に「一円」という表現も実に大人げない。そして、それが「安倍話法を考える②」に紐づいていく。

根拠なき事実を強調しようとする傾向

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください