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質問・批判をかわす「安倍話法」には4パターンある、その研究

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月12日 11時0分

「安倍話法を考える②」は、「『一』『1』で強調して否定する」こと。この話法については、2つの事例が引き合いに出されている。

 二〇〇七年参議院選挙の政見放送で、安倍首相は消えた年金問題について、「最後のお一人にいたるまで、記録をチェックして真面目に保険料を払ってこられた方々にしっかりと、年金を正しくお支払いしていくということです」と公約を掲げた。(132ページより)

 また、国民民主党(当時)の今井雅人議員から、「森友と加計、その他いろいろの問題をお伺いしたいと思いますが、(中略)ここまで来て、総理は、うみは出し切るとおっしゃっておられましたが、もううみは出しきられたというふうに思われますか」と問われた安倍首相は、「加計問題について言えば、まさにプロセスにおいてはこれは一点の曇りもなかったのは間違いないだろう、こう思うところでございますし、私から指示や依頼を受けた人は、これは前川次官も含めて、誰もいないということは明らかになっているというふうに考えるところでございます」(二〇一八年五月二八日 衆議院予算委員会)と返答。(132〜133ページより)



安倍首相が「一(いち)」や「1(ワン)」という数字を使うときは、根拠なき事実を強調しようとしている傾向が見られると著者は言う。安倍首相の「一」をどう受け止めるか、読者にも考えてもらいたいとも。

「一度も」あるいは「一回もない」というのは、非常に強い否定である。自分への疑いを晴らすには効果のある言い方だと著者は言うが、子供の言い訳に近いと個人的には感じる。事実、根拠もないのにはっきり否定してしまうのは幼児性の表れでもあろう。

二者択一の質問なのに、関係ないことをダラダラ話す

「安倍話法を考える③」は、「YES(はい)NO(いいえ)で答えない」。YESかNOか二者択一の質問に対しては、「YES(はい)」とも「NO(いいえ)」とも答弁しないということだ。

2017年5月8日、衆議院予算委員会で、民進党(当時)の長妻昭議員が「自民党憲法草案の主要な3点については、取り下げるのか?」と安倍首相に質問した。本来なら安倍首相は、肯定するか、否定するか、どちらかを選べばいいだけだ。

ところが安倍首相はここで、必要以上に長い答弁をしてみせたのである。少し長いが、引用したい。なぜなら、この中身のなさは必見だからである(著者自身、同書へにこの長い答弁を引用しているのは「現職総理大臣のありのままの姿を知ってほしいという思いがあるから」だと述べている)。

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