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シニア犬をテーマにした体験型ドッグカフェ:犬と人が幸せになれる高齢化社会とは 

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月2日 14時30分

「万が一そうなった時には、そのワンちゃんが寂しくないように最高の見送り方をしてあげるのが務めだと思っています。そして、飼い主さんにどれだけ納得してもらえるか。どういうふうに亡くなったのかと代わりに見て伝えてあげることで、飼い主さんの気持ちを落ち着けるのが大事だと思います」

何百万年も人類と共に生きてきた犬にとって、「主人」と共に生き、その腕の中で最期を迎えるのが最高の幸せだ。一方、近年は高齢化などで最後まで看取れない家族も増え、全国に「老犬ホーム」が急増している。これもまた、最終的なセーフティネットとして必要な施設ではある。ただ、人間ならば自分の意思を伝え、家族の事情などとすり合わせて自らホームに入る選択肢も取れるが、ものを言えぬ犬にはそれができない。犬の場合はあくまで、家族・友人やボランティアといった一般家庭での引き取りを優先するべきで、ホームはやむを得ない場合の最終手段と考えるべきであろう。

1,000頭を超えるこれまでのアイメイト(アイメイト協会出身の盲導犬)のリタイア犬は、全てボランティアらのもと、一般的な家庭犬として余生を送った。アイメイト協会の塩屋隆男代表理事は、「主人となる人がいて、人間と共に暮らしていくのが犬の幸せです。そうした施設に入れてしまうのは当協会としては非常にかわいそうなことだと思っています」と語る。中村さんも同様に考えているため、『meetぐらんわん!』では、あくまで「一時預かり施設」という線を守ることにした。



「シニアだからこそおいで」という場所に

『meetぐらんわん!』のスタッフの皆さん

これまでに2頭の愛犬を見送っている中村さんは、「犬は亡くなる直前に必ず感謝の気持ちを伝えてくる」と言う。「1頭は保護犬でした。その子はしっぽを振ったことがなかったのですが、最期にすごく振ってくれて、号泣してしまいました。もう1頭は最後の2日間は意識がなかったのですが、旅立つ瞬間に意識が戻って、私の顔をじっと見てから亡くなりました。犬にも感謝を伝えるタイミングが必要なんだと思います。飼い主としても、それがあって初めてお別れできるし、気持ちの整理ができるのでしょう」

容態が悪化した愛犬を一縷の望みを託して入院させ、出張とも重なって最期を看取ることができなかった筆者にとっては、重い言葉だ。同じような後悔を抱える飼い主を増やさないためにも、シニア犬に関する情報交換や、経験者との交流の場は必要だと思う。

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