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「借金大国ニッポン」をかすませる国家破産のリスク──世界の公的債務1京円の衝撃

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月14日 15時25分

その負担は今年6月、アメリカを債務不履行(デフォルト)の淵にまで追いやった。

急激に増える支出をまかなうため国債発行量が増えるにつれ、議会が定める債務上限(シーリング)に迫り、緊縮財政を求める共和党が多数派を占める議会下院とバイデン政権の対立が6月の危機を招いたのだ。

それでもアメリカの場合、GDPに占める公的債務の割合では日本より低い121%程度である。

日本には良くも悪くもシーリングがなく、これが経済規模に占める債務の割合でアメリカより高くてもデフォルトになりにくい一因と言える。

アメリカでは最終的に歳出削減努力を前提に債務上限の一時停止でバイデン政権と共和党が合意したためデフォルトは回避されたが、歳出過多の状況に大きな変化はない。

グローバルサウスに広がるデフォルトの波

アメリカに次ぐのが中国で、その公的債務額は2022年段階で約14兆ドルにのぼった。中国の公的債務額はこの10年間で約4倍に急増し、日本を上回った。

連邦政府の予算が膨らんだ結果、公的債務が急増したのがアメリカとすると、中国の場合は中央政府より地方政府の債務の方が問題になりやすい。地方政府はインフラ建設やコロナ対策の主体として住民生活に深く関わっているからだ。

カーネギー国際平和財団のマイケル・ペティス上級研究員は、米中が借金体質を強めた共通の要因として、両国における格差の拡大をあげる。とりわけ2008年のリーマンショック後、失業などによる政治的不満を和らげ、国内需要を高めるために公共投資を増やした点で共通する。

IMF(国際通貨基金)は中国の地方政府が抱える債務を総額約9兆ドルと試算する。中国政府は8月初旬、救済に乗り出す方針を示した。

ただし、それでも中国では今のところデフォルトの兆候は確認されていない。むしろ、デフォルトの現実味があるのは、規模の小さい途上国・新興国だ。

実際、2020年以降、すでにレバノン、スリランカ、ザンビア、ガーナがデフォルトに陥った他、エジプト、パキスタン、マラウィ、エルサルバドルなどがIMFなどと債務返済について協議を行なっている。

デフォルトに陥りやすい国とは

国連報告によると、世界の公的債務のうち途上国・新興国(グローバルサウス)のものは約30%に過ぎず、しかもその約70%を中国、インド、ブラジルが占めている。そのため、すでにデフォルトした国やその淵にある国が抱える債務の規模は日米中と比べてはるかに小さい。

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