日本がずっと放置してきた「宿題」...「文化」が変われば「防犯対策」も変わる
ニューズウィーク日本版 / 2024年1月12日 11時10分
「アウトプット中毒」の原因とは
本来、ディベートでは、参加者が、賛成側と反対側のどちらに入るかをランダムで決める。要するに、自分の意見など、どうでもいいのだ。自分の「ものさし」を捨てることこそ、ディベートの目的なのである。今の日本で、もてはやされている「論破」とは真逆の発想だ。「論破」は、自分の「ものさし」を相手に持たせようとするもの。しかし、それは「画一性」と同義である。「多様性」は、一人一人の「ものさし」は違うことを認めることだ。
ニュースの見出しを見ただけで、内容をじっくり読まずにコメントしたくなる「アウトプット中毒」が広まっているが、これも「画一性」の文化に侵されているから起こることだ。自分の「ものさし」を、押し付けようとしているのである。
「失われた30年」から脱却するには、文化を「画一性」から「多様性」に転換しなければならない。長期的に見れば、「画一性」が「多様性」に勝ったことはない。しかし、「多様性」といっても、それは、上辺だけの「多様性」であってはならない。それはすでに学校や企業で、いやというほどやっている。例えば、SDGsも「流行語大賞」にノミネートされるほど言葉自体は認知されたが、身体障害者用トイレの男女別すら、未だに実現していない。これは「画一性」の最たる例である。
求められるのは、パフォーマンスとしての「多様性」ではなく、「違い」を保証する「多様性」だ。多くの人は勘違いしているが、「違い」を認めることが平等で、「違い」を認めないことが差別である。言い換えれば、他人の「ものさし」を認めることが平等で、自分の「ものさし」しか認めないことが差別だ。
そうした真の「多様性」を実現するのがディベートである。ただし、過去と同じ失敗を繰り返さないため、導入にあたっては注意が必要だ。まずは、学校や職場で、課題への賛成理由や反対理由を、できるだけ多く列挙することから始めてみてはどうだろう。ありったけの「ものさし」を机に並べてみるのだ。それこそが「多様性」の景色なのだから。
この記事に関連するニュース
-
【意見募集】開催地負担100億超。国民スポーツ大会(旧、国体)はこのまま継続すべきか?
PR TIMES / 2024年6月7日 13時45分
-
間もなく山開き。登山者に対して入山料を取るべきか?Surfvoteの投票では約8割が山の維持管理のために「入山料を取るべきである」と回答。
PR TIMES / 2024年6月7日 10時15分
-
自分そっくりなAIを欲しいですか?
PR TIMES / 2024年6月6日 14時15分
-
【意見募集】「介護休業93日」を育休並みの1~2年にするべき?
PR TIMES / 2024年6月5日 14時45分
-
【Surfvoteで考えよう】夜に居場所を求める若者のため、政治や行政は積極的に動くべきか?
PR TIMES / 2024年6月4日 13時45分
ランキング
-
1中国ロケット落下や爆発相次ぐ 住宅街周辺、SNSに動画投稿
共同通信 / 2024年7月2日 20時39分
-
2「伊勢丹」に「モスバーガー」日本企業“中国撤退”の背景は? 「現地化」と「品質管理」で勝負するコンビニも
日テレNEWS NNN / 2024年7月2日 20時7分
-
3韓国9人死亡事故で運転手聴取 「車急発進」の根拠未確認と警察
共同通信 / 2024年7月2日 19時16分
-
4ガザ避難民190万人=人口の8割、転々と―国連
時事通信 / 2024年7月3日 7時58分
-
5韓国の抗日団体、渋沢栄一の新一万円札に抗議「日帝植民地経済収奪の尖兵」「欺瞞的行為」
産経ニュース / 2024年7月2日 18時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)