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吉田正尚所属、MLBボストン・レッドソックス本拠地の「サステナブル」な新名所とは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年4月5日 15時0分

バンヘーゼルとエルデ・コーエンは、チラシを配り、地元の農産物市場にテーブルを並べ始めた。裏庭や車道、農道、市街地の土地などの小さなスペースにプランターや苗床の設置を提案し、ほぼ1週間ごとに(収穫物のサイズにより異なる)手入れをした。

地元のグルメ雑誌で特集されたことをきっかけに、スタッフの福利厚生の一環として農園を始めたいと考えていた医療保険会社ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアやレストラン・チェーンのBグッドなど、最初の企業クライアントの注目を集めた。14年には、新興企業支援プログラムを通じて知り合ったレッドソックスの共同オーナー、リンダ・ピズッティ・ヘンリーに屋上農園のアイデアを売り込んだ。

未来に向けた「橋頭堡」

バンヘーゼルは事業の参考にするため、海外に目を向けた。19年には、5週間の国際交流プログラムの一環としてスウェーデン、ドイツ、フランスの8都市で50の団体と会い、最適な事例を集めた。

ベルリンでは約65平方キロの公共公園スペースを市民農園に使っていた。スウェーデンのイエーテボリとマルメは市有地に温室とフェンス、給水設備を設置して都市型農家の新規参入を促し、今では2850ヘクタールの土地に200の農場が出来た。パリでは100ヘクタールの屋上や壁面などを緑地に転換。約3分の1を都市農業に割り当てた結果、19年までに60以上の農業団体が誕生した。

世界人口に占める都市住民の割合は50年までに50%から70%に増加するとみられ、都市農業が注目を集めている。世界190以上の都市が、持続可能で復元力に富む都市食料システムの構築を目指す都市食料政策ミラノ協定(MUFPP)に署名している。

ブルキナファソの都市ボボ・ディウラッソでは、1991~2013年に地表面温度が年平均約6%上昇した。市当局はその対策として、都市の空き地でアグロフォレストリー(森林農業)事業を推進。果樹や野菜を植え、参加世帯に収穫させている。カナダのトロントでは「樹冠倍増計画」の一環として、家庭菜園だけでなく地域の果樹園や農園にも資金を援助している。

グリーンシティーグロワーズの現経営トップであるグララートは、ボストン都市圏出身で商業的農業の経験がある。アリゾナ砂漠の高地で大規模なリンゴ園を経営していたが、故郷に戻ろうと考えていた15年にグリーンシティーグロワーズを知り、投資を決意。やがて経営トップに就任すると、投資家を招き、事業拡大に乗り出した(バンヘーゼルは13年以上事業に携わった後、21年に株式を売却)。

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