泡で、船で、AIで...... 海洋プラスチックごみ回収の最新イノベーターたち
ニューズウィーク日本版 / 2024年4月8日 18時10分
筆者は数年前にTGBBを訪れ、共同設立者たちに会った。「水辺のごみをなくさないと動物たちの命が危ないとずっと気になっていて、私たちが行動を起こさなくてはと思ったのです。TGBBの活動によって、プラごみ問題への関心がより高まってほしいです」との言葉が印象に残っている。
TGBBのバブルカーテンは小規模だが、今後、設置数が増えていけば海洋プラごみ回収に一役買うだろう。
「オーシャン・クリーンアップ」 海と河川で、大規模なプラごみ回収
ダイビングをしていた時にたくさんのプラごみを見て「プラごみを回収しなくては」と決心したのは、オランダ生まれのボイヤン・スラット氏だ。氏は2013年、18歳のときに非営利団体のオーシャン・クリーンアップを設立した。氏は2014年国連の環境賞を受賞している。
オーシャン・クリーンアップが研究を重ねて生み出したのは、2種類の装置。TGBBのカーテンのように、河川のプラごみが海に流れる前に回収する装置と、海洋でプラごみを回収する装置だ。「2040年までに、海洋に浮かぶプラごみの90%を除去する」ことを目指し、川や海のプラごみの回収を続けている。4月初めの時点で、全装置で回収したプラごみは940万kg以上に達した。
河川用の装置「インターセプターズ」は、プラごみの汚染がとりわけ激しい世界の1000の河川を清掃しようと開発された。インターセプターズは、河川の状況に合わせ、数種類が考案されている。容量50立方メートルのプラごみを回収できるボート「インターセプター・オリジナル」は主要な装置だ。東アジアを中心に、すでに15叟以上が導入されている。3月末には、61 本の運河が流れ込むチャオプラヤー川の浄化のためにバンコクで初導入されたばかり。タイでは、バンコク市をはじめ天然資源・環境省なども回収プロジェクトのパートナーになっている。
チャオプラヤー川で稼働する「インターセプター・オリジナル」 ボートに引き上げられたプラごみが、青いコンテナボックスへ自動投入される ©The Ocean Cleanup
船上の太陽光パネルによる発電を電源にした「インターセプター・オリジナル」は、コンテナボックスを積んでいる。ボートにつないだ長いフェンスによって浮遊しているプラごみをボートへと誘導する。流れてきたごみはベルトコンベアーでボート内に引き上げられ、自動でコンテナボックスへと入れられる。ほぼ満杯になると、コンテナボックスを川岸へと運ぶ担当者へメッセージが送信されるという。ごみは処理施設へ運ばれ、コンテナボックスはボートに戻される。
この記事に関連するニュース
-
福岡県事業:海岸漂着物を使ったアート作品の完成披露セレモニーを天神中央公園「光のフォレスト」で開催。
PR TIMES / 2024年11月22日 10時15分
-
太平洋ごみベルトで韓国産プラスチックごみが急増=韓国ネット「恥ずかしい」「消費習慣を見直そう」
Record China / 2024年11月20日 8時0分
-
TRUE BLUE~青き輝きつづく~プロジェクト!TRUE BLUE サッカー教室&クリーンアップを開催
PR TIMES / 2024年11月7日 18時15分
-
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル、河川ごみの海洋流出防止のための河川ごみ回収装置(1号機)の実証実験を実施しました
PR TIMES / 2024年11月4日 21時40分
-
プラごみ流出、32%削減必要 50年ゼロ目標実現へ、九大
共同通信 / 2024年10月25日 16時21分
ランキング
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください