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単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日本経済の現実...物価対策、移民政策への考えとは?

ニューズウィーク日本版 / 2024年5月4日 20時51分

だが移民については、日本の社会にはさまざまな見解がある。今も日本社会の一部には、海外からの労働者移住を無期限に続けるという発想に抵抗する向きがある。だから現在は、完全な移民受け入れ構想ではなく、一定の規則を設けた上で、いま説明したような形で外国の人材を日本に迎える方策を考えている。

EVで巻き返しを図る日産自動車の内田社長 TOMOHIRO OHSUMI/GETTY IMAGES

──日本のメーカーが韓国や中国などのブランドに勝ち、世界的な競争で優位に立ち続けるためにどのような支援を行っていくのか。業務の自動化は十分な速度で進んでいるか。

日本の自動車メーカーは電気自動車(EV)への投資で外国勢に後れを取っているのではないか。日本のライバルは中国や韓国だけではない。日本は先進諸国を含め、世界中の企業と競争している。

私の経済政策は、気候変動や人口減少などの社会的チャレンジを長期的な経済成長のためのエンジンに変えていくことだ。つまり公共部門と民間部門が協力してこれらの社会的チャレンジに挑み、それを成長の原動力にしていきたい。

この観点から、わが国はGX(グリーントランスフォーメーション)とDX(デジタルトランスフォーメーション)という2つの分野に重点的に投資を行っている。

GXに関しては、国として20兆円規模の大胆な先行投資を行い、今後10年間で150兆円超の投資を官民で実現していく計画だ。

DXに関しては、例えば半導体分野で約2兆円の支援を用意している。先の日米首脳会談でも、サプライチェーンの強靭化について協力を強化し、経済安全保障の観点から連携を深めていくことで合意した。

人口減少が始まっている以上、生産性の向上は避けて通れない問題だ。そこで私たちは国内投資促進の政策パッケージをまとめた。戦略的分野への大規模投資を集中的に支援する一方、中小企業には省人化・省力化のための投資を支援していく。

EVに関しては、ご指摘のとおり、世界中でEVへの急速な移行が進んでいることは承知している。日本の自動車メーカーも緊張感を持ってこの状況に対応している。今回の訪米中にはノースカロライナ州を訪れたが、あそこでは現在、トヨタのEV向けバッテリーを生産する巨大工場の建設が進んでいる。このように、日本のメーカーもEVの分野に戦略的な投資を行っている。

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、基本戦略として「多様な選択肢」を維持しつつ、日本企業の競争力を引き続き維持・強化していきたい。そのためにEVの購入補助金や充電インフラの整備、蓄電池の国内製造基盤強化や原材料の確保などで包括的な支援を提供し、「EVでも勝利」を達成できるように努めていく。

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