汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏最新インタビュー
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月27日 14時40分
AIの技術開発は大きなエコシステムになっていて、オープンソースでAIモデルを開発する人たちがいるというのはいいことだと思う。僕自身はスマホに搭載できるようなオープンソースのAIの誕生を待っている。
(9:06)
競合他社よりも常にかなり先を行くことができるのではないかと思っている。というかそうでありたいと思っている。一方でコア技術ではない周辺領域にも価値を創造しないといけないと思う。それは他のビジネスと同様、昔ながらのやり方で価値を作っていくしかない。(湯川解説:この部分の発言に、「自分たちの技術、特にこれからリリースするGPT-5の方が、Llama3のような競合のオープンソース技術よりもまだまだ先行している」という自信を感じることができる。一方でオープンソースの追い上げに脅威を感じるので、周辺の事業も手がけないといけないと考えているようだ。この周辺事業とは、例えばGPTストアのようなもの。ユーザーが簡単にカスタムGPTを開発できるツールを無料で提供することで、スマホのアプリストアやユーチューバーのようなエコシステムを構築しようということ。今回の5月13日の発表で、GPTストアを無料ユーザーにまで解放したのは、こうしたエコシステムを盤石なものにしたいからだろう)。
【先頭集団の競争の行方】
(質問:ネット上の公開データを使って学習する段階での競争のフェーズが終わり、次に非公開データで学習するフェーズに入るのか?非公開データで学習する権利をより多く買い取ったところが有利になるのか?)
(13:33)
非公開データの奪い合いにはならないと思う。公開データを学習するだけでも十分にAIは賢くなるので、学習のためにさらなる非公開データまでいらないと思う。賢くなったAIが、特定の領域の推論の際に非公開データを必要とすることはあるだろうけど。(湯川解説:推論とは、学習済みモデルがユーザーの質問に答える行為のこと。質問に答える際に、非公開データセットにアクセスし、そこで得た情報を参考にして回答を生成するという形で非公開データを利用するだけど、LLM自体を賢くさせる学習プロセスに非公開データは不要、という話)
(12:45)
この業界にいて学んだことは、1、2年先のことでも予測するのは非常に難しいということ。なので予言めいたことは言いたくないが、人間を超える知性の実現に向かって、いろんな人がいろんな方法を今後も試していく中で、ちょっとスピリチュアル的な表現を使えば、たまたまだれかが作ったモデルに突然「高度な知性が宿る」みたいな感じになるのではないだろうか。そんな感じで、だれかがブレークスルーを起こすのではないかと思っている。
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